蝉しぐれ

原作は未読だが、NHKのドラマにて興味を持ったので観にいく事に。って、監督がNHKのドラマの脚本の人だったなんて。どうりで、同じような演出が多いわけだ。
もちろん、内容は映画の尺に合わせて登場人物と共に整理されているが、主題となっている事はスポイルされずにまとまってるし。何より、時間経過をも表す四季の風景や、海坂藩の自然が見事で引き込まれる。
市川染五郎の文四郎は優しすぎるかと思ったが、「死にに行く者の…」のくだりはさすが歌舞伎役者か。その幼馴染に、今田耕司ふかわりょうでどうなるかと思ったが、想像していたよりまともだったので安心。もっとも、ふかわりょうの殺陣はヒサンだったけど。
ただ、秘剣のくだりを削ったなら、犬飼兵馬はいなくても良かったような…。<以下核心メモ>
せっかく与之助で出した今田耕司を使いたかったのだろうけど、船で逃げるシーンでの演出は逆に流れを妨げるものであったと思える。
また、おふくとの再会のラストにてお互い一緒になれなかった事を悔いるが、その想いを胸に分かれるという事で、それまでのシーンがリフレインされるのだが、これがまたくどい。荷車を引いている先に見える小さい頃のおふくのシーンだけで止めておけば、一瞬の気持ちの共有という雰囲気が出せたと思うだけに残念。感動の押し売りっぽくて、ラストにて萎えてしまったり。