TAKESHIS'

簡単に言うと、北野武の脳内映画。「凄いか」と聞かれればYESだが、「面白いか」と聞かれると??というのが感想か。もっと単純なビートたけし北野武の物語かと思ったけど、そんな単純なものでは無いので、「座頭市」あたりを見たり、ビートたけしの映画だから、という思いで普段映画を見ない人が見ると辛いかと。
相変わらず、カメラの動きは面白い。結構、長回しのカットが多いのだが、それが誰の視点というわけでも無く、言ってしまえば神の視点の様で面白い。
あと、同じ役者が複数の役割を持つのは、不条理世界を描くには良かったと思える。<以下核心メモ>
武サイドとたけしサイドの混じり具合は面白いのだが、ややそれぞれのモチーフ的なものが弱くて分からずに終わってしまった感じで。ただ、それぞれのフェイズにて、逆のモチーフを短いカットで挿入するのは相違性や共通性を表す鍵として面白かったかと。
ただ、毛虫のイメージから広がる美輪明弘の歌の件は長かったかな。それ自体は冒頭から本人が出てくることに対しての繋がりなのは分かるんだけど。
ドキュメンタリー的な映像やら、人が倒れる中を進むタクシーやら、浜辺での怪しげな戦闘やらと滅茶苦茶な構成だけど、その作り方などに北野武の映画への愛を感じたかと。
ただ、冒頭とラストに現れる、倒れる日本兵のたけしについての意図が全然汲み取れなかったんだけど…。