単騎、千里を走る。

テアトル1、評価★★★
NHKでメイキングのドキュメンタリーで気になっていたのだが、実に独特な雰囲気の映画であった。メイキング以上に、ドラマというよりドキュメンタリーっぽい画面づくりで。多分、セリフが少なく、また表情の変化の少ない高倉健の演技のせいもあるだろうかと。とは言っても、そのあまりにも見事な演技にひきつけられるのだが。まぁ、監督が健さんを撮るために書いた作品だしねぇ。
それ以上に、中国の人達の優しさや、それを演じた現地の人たちに関心する。
親と子の想い、孤独の中で助けてくれる人たち、という人の優しさを感じられる映画であった。<以下核心メモ>
意外に現地ガイドが役に立たずに、奥地でも携帯電話でプロのガイドを頼っているのが面白い。でも、日本からの電話はうまく繋がらないのがなんとも。あと、デジカメ、ビデオというハイテク機器が、懐かしい雰囲気の中国での生活をしている人たちを切り取っていき、最後のリーが息子のヤンヤンの姿を見て涙し、その想いが周りの受刑者に広がり、リーの主人公の息子の為の舞踊に繋がるのが面白い。ただ、その舞踊の時には息子は既に死んでいるのだが、その人への優しさや感謝を感じたから、息子が死んだ事を告げずに、撮ってくれという思いを受け取ったのだろう。
チュー・リンが息子の病気を知ってガイド料を返したり、訪ねてきた日本人の客の為に村中揃って宴を催してくれたり、という中国の人達の、というより人本来の優しさが滲み出る様な映画であった。