ジャーヘッド

テアトル8,評価★★★
「戦争の映画」というより「戦場の映画」という感じか。実際に、撃ち合ったりするシーンは無いのだが、戦場に送り込まれた現代のアメリカ兵がどう動いているかが面白い。厳しい訓練と、砂漠でのフットボ−ル、クリスマスの馬鹿騒ぎと、戦地にいながら戦場では無いエピソードが続くわけだし。
この映画を観ると、まだ湾岸戦争アメリカにとっては正しい戦争だったんだとも思える。そして、それぞれの兵士にとってはそうでなかったとしても。<以下核心メモ>
身を隠すところの無い砂漠での斥候行動や、味方の飛行機からの攻撃、破壊された油田からの油の雨の中の行軍と宿営などなど、今までの戦争映画には無いシチュエーションが多かった。それでも、彼等が戦いの最前線に居る筈なのに直接の戦闘が全く無く、最終的に主人公は発砲する機会が無く、人を殺す事無く戦争の終結を迎えるというのも面白い。訓練期間中に見ていた「地獄の黙示録」の騎兵隊侵攻シーンを見ながらでさえ殺戮を望む思いになっていたのに。
そんな訓練された海兵隊員でも、一方的にやられた逃げる民の焼けた死体を見ては嘔吐するわけだし、死体を集める海兵隊の仲間を異常だと罵る事もあるわけだ。
で、そんな海兵隊員が国に戻っても、砂漠と銃の記憶が忘れられないというのが印象に残った事か。そう思わせるのも、訓練の姿、戦闘を望む姿、帰国しての気の抜けた姿、を好演したジェイク・ギレンホールに寄るところは大きいだろうかと。