おくりびと

テアトル7、評価★★★★☆
納棺師という、聞き慣れない職業をモチーフにした映画。
もちろん、死者を扱う事ゆえ死というモノに直面する演出がある反面、生に対する演出も見事。とにかく、生きる事の象徴か食べるシーンの多い事…。
2時間10分の上映時間はやや長いかと思ったけど、脚本の見事さと、山形の風景の美しさで、時間を気にせず楽しめた。
主演の本木雅弘はもちろん、社長役の山崎努の存在感がある演技は見事。
あと、広末涼子の演技はどうかと思ったけど、実にいい女になったようで。時折、声の高さが気になったけど。
ともかく、死と生という根本的なテーマをキレイに描ききった映画として、人にも薦められるとは思う。<以下核心メモ>
妻の納棺師という仕事への理解…で終わると思ったのだが、更に冒頭から語られていた消えた父親の納棺で終わるという展開は面白い。その際に美香が発した「私の夫は納棺師です」というセリフが、物語の流れを示す象徴的なセリフだと思う。
美香がその気持ちになる為の、布石としてあった顔見知りの銭湯のおばあさんの死がきっかけになったのだろうが、もっていき方は見事。しかも、その葬式の折に銭湯で会っていた、いわくありげなおじさんが、火葬場の守人という展開は面白いと共に、胸にしみる。そして、「自分は門番なんです」と語る姿に、また涙。
美香の妊娠は、生の象徴としてわかりやすい形だけに、あるとは思っていたけど、それに石文を重ねたラストシーンはいい。