ベンジャミン・バトン 数奇な人生

テアトル6、評価★★★☆
原題は「The Curious Case Of BENJAMIN BUTTON」。同名の短編小説を原作とした物語だそうな。
主演のブラッド・ピットケイト・ブランシェットは勿論判っていたが、監督はデビッド・フィンチャーだったのを知ったのは観る直前。それで、フィンチャーらしいトリッキーな構成や画面作りを想像したのだが、思ったよりも淡々とした演出にやや拍子抜け。勿論、それが悪いのではなくて、こうやって穏やかに人間を描く演出もできるんだ、と感心。


物語は、基本的に年老い死の床についたデイジーと娘がベンジャミンの回顧録を読んで・・・という流れ。その流れの軸になっているのは、ベンジャミンが体験した人との出会いと別れ。捨てられたベンジャミンが拾われ、育つ事になるのが老人ホームというのがなんとも奇妙な感じ。老人の姿で生まれた彼が、そこに来てそして去っていく人達の中で成長し姿が若返っていくというものだし。
第一次世界大戦から現代までの物語となるのだが、周囲の情勢にあまり捕らわれずにベンジャミンの生き様を描いた物語といったところか。同じ脚本家が書いて、時代の流れを貪欲に取り入れた「フォレスト・ガンプ」と比較してしまうのは仕方が無いところか。
ベンジャミンの成長やデイジーの老いを描くのに、特殊メイクやCGが使われていたわけだが、その自然さと必然性は見事なまでで。


人生という当たり前のものを見直した映画として、その世代・・・というより人によってまた捕え方が色々あるのでは?という意味では素直に楽しめる映画だと思う。正直、今の感覚でもう一度観たいものだ。


しかしまぁ、パンフレットはオビ付きってどういう事?扱いに困るんですが・・・。<以下核心メモ>
老人ホームで育ったベンジャミンが、年を取って「痴呆の少年」として戻ってきてしまうという展開は、巡りあわせを感じさせ悪くない。その面倒を見るのが、別れたデイジーというのが。その姿に、2人の時間の流れの違いをまざまざと見せ付けられるわけで。
途中、デイジーの娘はベンジャミンの子じゃない?という感じになるのだが、子供が生まれた後に若返っていく自分について「2人の子供の面倒を見る」という事をさせない為にベンジャミンが去っていくという展開は悲劇性の象徴か。