チェンジリング

テアトル8、評価★★★★☆
イーストウッド監督の新作。実話をベースにしているわけだが、製作にブライアン・グレイザーロン・ハワードが入っているという事で納得。
物語はイーストウッドらしい淡々としつつも、確実に物語を紡いでいくという演出は隙が無い感じ。警察の腐敗で、行方不明になった子供が帰ってきた時には別人に・・・という流れから、人権の問題やさらなる悪へと話は進むのだが、その語り口調はどちらかというと穏やか。それでも、数々のインパクトを持って話が進むのだが。
主役となる母親を演じたのが、アンジェリーナ・ジョリー。やや、強い女性の印象が強すぎるかと思ったけど、その内に秘めた力を持った演技は圧倒的でありながら、穏やかで心地よい。
あと、ジョン・マルコビッチがいい人をやっていたのは初めてくらいの気がする。
女性運動の話と思っていたけど、実にシンプルな母の物語であった。その影響が大きいものだったとしても、イーストウッド流の描き方で、ただの感動作には終わらせない、実に面白い映画に仕上がっていた。<以下核心メモ>
子供を取り替えられた事で警察の腐敗を・・・という物語だけかと思ったら、その展開に絡む要素として子供の連続殺人が絡むとは予想外の展開。これが、実話であったというのだから、ただ驚くだけなのだが。パンフレットから読み取る限り、この連続殺人の内容は脚色が大きいみたいだけど、その内容からPG-12に指定されていた理由も納得。
結局、この映画で描かれた先でも息子を探し続けた様だが、その希望を持たせる事になったのは、3人の子供脱走で。その中に1人が出てきて、実の両親との再会をクライマックスとして、クリスティンに"希望"という言葉を言わせたのが、この作品の中での救いなのだろう。勿論、警部と本部長の退任、連続殺人犯の絞首刑、一般市民の理由無き精神病院への入院禁止等々社会的に勝ち得た事は多いとしても。