カムイ外伝

テアトル2、評価★★★
白土三平原作の同名漫画の実写映画化。今回の映画に相当するエピソードは一応、既読。
予告で見る限り、荒唐無稽なNINJAモノになるかと思ったけど、VFXで描かれる表現は白土漫画特有な忍者の超人的な動きを表現するのに、有効に働いていたか。それよりも、海のシーンでの空の合成具合のほうが気になって仕方が無かったのだが。
カムイを演じた松山ケンイチはやはり素晴らしい。今までのイメージでどうかと思ったけど、十分にカムイになっていたかと。
抜け忍であるスガルを演じた小雪は、思った以上に鋭さがあったか。14年という時間の流れで、無理があるだろうと思われる部分も含めて、いい感じに演じていたのでは、と。
原作が「カムイ伝」という事で、「身分や立場の違い」よりも「抜け忍として生き抜く」事を主軸に持ってきたのは、映画として正解だと思う。ただ、違和感を感じた事と言えば、劇画では乾いた岩場等のイメージが強いのに、森林や強烈な太陽光の下等でのアクションが多かった事かな?
原作といえば、説明書きの多い白土漫画。それに習うように説明としても挿入されていた山崎努のナレーションは心地よかったな。<以下核心メモ>
物語の筋は原作に習ったもので。半兵衛とスガルとの出会いや、半兵衛の救出、そして幸島での渡衆との出会いと、そのリーダーであり実は追忍であった不動との闘いと、基本的な要素は含んでいたか。ただ、半兵衛が何故藩主の馬を狙ったのか等に説明不足な部分はあったと思う。
島の住人と共に半兵衛一家が毒殺される流れは一緒だが、そこから最後の闘いまではやや単調であったか。もちろん、不動とカムイの会話のやりとりや、霞切りが破られ新しい技を繰り出したりと、盛り込んでいる要素は多いのに、圧倒的な盛り上がりには欠けた様な。もっとも、その淡々とした流れが原作の雰囲気に近いものなのだろうが。