ハート・ロッカー

フォーラム1、評価★★★★
イラク戦争での爆発物処理を行う兵士の物語。今年のアカデミー賞で作品賞他を受賞した映画。
2004年という年代設定がされている様で、脚本を書いたマーク・ボールの取材の賜物だそうな。
主人公となるジェームズ二等軍曹は、爆発物処理で命を落としたトンプソン軍曹の代わりとしてブラボー中隊に配属されるのだが、先のトンプソン軍曹がロボットを主に使っていたのに対し、防護服を着て作業に向かう・・・というシチュエーションから始まり、状況とキャラの説明としては十分か。
そんな始まりをした物語は、いつ,どのような形で爆発するか判らない・・・というゲリラ的な相手と対するだけにあって、いつ何が起こるか判らないという展開が続く。しかも、爆発物だけでなく、砂漠の乾いた環境でのスナイピングまで描かれ、緊張感溢れる戦場の空気を描いていたか。
そんな画が続き、手持ちカメラの多用でドキュメンタリータッチなのかと思いきや、ジェームズ軍曹の内面や周囲との関わりを描く事で、ドラマとして十分に成り立っていたと思える。<以下核心メモ>
処理作戦での単独行動やトレーラーへのテロに対しての爆破犯の追跡など、ジェームズ軍曹の単独行動や無理と思える行動がメインとなるのだが、ラスト間際で帰国した際に小さい子供に「たくさんある好きなものは、大人になるとほとんどどうでも良くなり、1つか2つになる。自分には1つだけ」と言って、再度イラクで爆発物処理に向かう姿で締めるカットで、ジェームズは戦争でしか生きていけないんじゃないかと思えるわけで。
そして、爆発物を巻きつけられ時限装置のタイムアップで見殺しにせざるえなかった男が最後に出てきたりと、イラク戦争の不条理さを見せるもので。普通は、危うく命を落としそうになったサンボーン軍曹が、恐怖が嫌になり、主張を変えて「子供が欲しい」となるのが普通なのだと思う。
そんな流れの積み上げで、イラクの現状と戦場でのみ生きる兵士を、説教ではなくドラマチックに描いている映画だった。