アウトレイジ

テアトル1、評価★★★★
北野武が久々に描く暴力的な映画。
ヤクザものであるのだが、役者は勿論、そのキャラクターが強い男達の物語で見ていて飽きない。ヤクザものという事もあってか、感情移入を避けて事象を描く感じか。監督の編集による、シーン切り替わりも乾いた感じで効果的。他には、いい役者達故の、意味深い視線がなんとも言えず。
まぁ、それにしても本当に「バカヤロー」「コノヤロー」というセリフばかりが目立つ映画で。そんなわけで、ヤクザのおかしさというか、その世界の中で立ち回る男達のおかしさを描いたものとして、エンターテインメントなのかもしれない。やはり、指詰めとか痛いシーンは多いけどね。
意外に銃を発砲するシーンが多かったか。出てくる銃も多彩だし・・・って、スコーピオン,USPやベレッタとかヤクザが使うのか?という疑問はあるけど、北野作品のファンタジー性を考えれば妥当か。ガンエフェクトには、ちゃんと納富貴久男がやってるし。
なんだかんだ言っても、映画としての満足度は十分だったのは確かな一本。<以下核心メモ>
物語は系列である組の中での争いを描いたもので、サバイバルの様相に。
金にうるさい池元や、その兄弟分である村瀬が殺されるのは当然の流れとしても、最後に結果を見る為に大友に逃された水野が、結局は小沢の手下にクルマで首を引っ張られて殺されるという最期のシーンは壮絶。そして、最期に水野と愛を重ねた女も裸で撃たれるというせつなさが。
そんな水野を逃した大友は逮捕されて終わり・・・と思いきや、カッターで指を詰められなかった時に大友に顔を切られた木村に刑務所で刺されるという、壮絶だけど情け無い最期を迎える事に。
そして、最期の勝者と思われた小沢と組織トップの関内を、関内の右腕である加藤が銃殺するのだが、いい様に使われていた加藤の表情からすれば妥当な展開。ただ、加藤が親分となった姿として、関内と同様の白いスーツで出てきたのは、変な象徴として可笑しさがあったかと。