十三人の刺客

テアトル7、評価★★★★
同名タイトル作品のリメイク。
冒頭の雰囲気から台詞の使い方までオリジナルを踏襲してるのか・・・と、思いきやそこは三池崇史監督だけに、悪趣味且つ効果的な演出で新しいものに仕上がっていた。
終盤の宿場を要塞にしての戦いは、オリジナルも長かったけども、今回は更に長いものに。相手の人数も50人程度から、300人にスケールアップした事での迫力は十分。まぁ、最後のほうの一団の頃には「もういいよw」という気分になったのは確かだけども。
主役となる島田新左衛門がオリジナルで片岡千恵蔵だったのが今作では役所広司という事でギラギラしたものになるのは判っていたけども、それ以外の12人の描き方がオリジナルより深くなったのは構成を変えた効果か。
そして何より特筆すべきは、稲垣吾郎の演じる暴君の徹底した非道ぶりは見事で、あれは誰でも暗殺したくなるわwwしかも、バカじゃないからタチが悪いというキャラクター。それを演じきった稲垣吾郎という選択は正解だったと思える。
オリジナルの面白さを生かし、更に新しい時代劇映画にした作品として楽しめた。<以下核心メモ>
オリジナルでは、終盤まで陣で待っていた新左衛門が先頭きって戦っている事で、決着の付け方は違うものに。
ライバルとなる半兵衛との一騎打ちの末に、藩主と刺し違える流れだけども、己もそうやって死ぬ事での始末があったのだろう。それにしても、あれだけの修羅場を越えたうえで「楽しかった」と言われた時の怒りこそが最も大きなものだろうという演出の緊張感はいい。
近作で生き残るのは甥の新六郎と野人の小弥太。小弥太が生きたのは侍を笑うという立ち位置の他にネタの要素もあるだろうけど、新六郎が生きる事で今回の戦いが埋もれるものでない・・・という事で納得できる。十三人の中で、唯一帰る場所が描かれてた事もあり、ラストショットもそれを示してたわけだし。