ブラック・スワン

テアトル8、評価★★★★
ナタリー・ポートマン演じるバレエダンサーの、「白鳥の湖」をめぐる話。「白鳥の湖」の内容なんんか知らないよな・・・と思っても、そんな事は気にせずに観られるもので。
タイトルにもある"黒鳥"を踊る為には素直すぎると言われるニナの実際に内面を交えて描かれるスリラー。名声が上がるのに反し、心が堕ちて行く様を演じるN・ポートマンの演技は見事。今まで清純な役が主で、ストリッパーを演じた「クローサー」でも色気は少なかったのに、今回は快感に悶える姿まで見せるのだから。勿論ダンスシーンの動きの見事さ、更にその時の肉体というか筋肉の美しさには息を飲む。
そんな美しさもあるけど、手持ちカメラらしい寄った映像の多様でドキュメンタリーの様でありながらも、突然内面のシーンにドキリとさせられる。
何にしても、女性の怖さが前面に出た映画だったなぁ、と。<以下核心メモ>
"不感症"と言われるニナが、役を得る為に盗んだ口紅で振付師に迫るまではおとなしいのだけど、その後宿題として「自ら弄れ」と言われた辺りからの現実と悪夢の混じり具合は改めて見たいところ。大体、セクシーなシーンの直後にはショッキングな映像が差し込まれるもので。
主演を新人のリリーに奪われたと思い、更に公演中に黒鳥の役を奪われそうになって割れた鏡で刺し殺した・・・と思ったのが、実際に刺したのは自分の腹という悲しさ。
それでも、白鳥が身を投げるダンスの終わりで命を燃やし尽くすニナの顔には、悪夢でも全てを勝ち取った満足さがあったわけで。男として見ていた振付師が、多数しるダンサーの独りとしか思っていないという名で呼んだとしても。