ちょんまげぷりん

未見の作品としてレンタル。原作小説もある様だけど未読。
現代にタイムスリップしてしまった侍の木島安兵衛が、お菓子を作ったならば実に見事で…というのが大体の流れ。タイムスリップも、漠然とではなくお地蔵様にお祈りした事から繋がるあたりはスムーズ。
どんな展開でお菓子を作る事になったんだろうというのが興味のあるところなのだけど、シングルマザーの母親と子供が侍と出会い、一宿一飯の恩義で家事をする事から転じお菓子作りをする事に。ここまでの流れが丁寧で、それぞれの感情や、江戸と東京での男女のあり方の違いの見せ方がポイント。
母親のひろ子が、家事と育児(奥向きの事)を手伝わない旦那と別れた…というのが設定だけでなく、物語の展開にもしっかり絡んでいるのが展開として面白い。
そんな中、安兵衛が参加したケーキコンテストでのチョコレートの城(TVの司会は"江戸城"と)が出てきて、完成間際にトラブルとなるのだが、そのリカバリの方法が素敵。今までの要素を一気にまとめあげた流れと画の美しさにはちょっと涙が出た。
冒頭に一文が出て、ラストには安兵衛が江戸時代に戻り別れがある事は明確だったのだけど、単なる別れではなく"プリン"という形で再会する終り方は実に心地いい。何より、美味しいものを食べた笑顔で締めくくるんだもん!
侍がパティシエ…という事で奇をてらっただけの話しかと思っていたけど、家族としての暖かい物語であったので想像以上の満足。
しかし、安兵衛を演じた錦戸亮は普通の現代社会の中で一人だけ侍の所作を通すって大変だったろうなぁー、と。
ちょんまげぷりん [DVD]