ALWAYS 三丁目の夕日'64

テアトル1、評価★★★★
昭和の時代を描く「ALWAYS」の3本目。1964年という事で、東京オリンピックも絡む話だとは思っていたけど、殆どがその開催期間中に起きる物語の顛末という事で。
物語としては、茶川と淳之介の話と、鈴木オートでの六子の恋と結婚の話が大きな軸となっており、その中で親子の繋がりと"幸せとは?"という問いを含めたもの。2つのメインとなる話が並行して進むような展開で、先2作とも併せると連続ドラマとしての様相を見せるけど、VFXを含めた世界観の作りこみ加減が映画としての存在感を放っていた。
全般的に、昭和30年代にあった人の優しさに溢れているもので心地よい感動の得られる作品なのだが、自分的には10月10日に空に描かれた五輪マークをカラーテレビではなく実際に空を見上げ、その大きさに感動するシーンに思わず涙した。
それにしても、パンフレットを改めて見ると映画で印象していた以上に細かいVFX処理がされていて驚き。新幹線は何処で…と思ったら、展示してるところにホームのセットを作ったのか、と感心。あと、3Dを前提に作られたのかが曖昧だったので今回は2D上映で観たのだけど、どうやら3Dを意識した撮影が徹底していた様で、3Dで観ても良かったのかもしれない。先の五輪マークの感動も大きくなったかもしれない。
完全に先2作からの連作という構成ではあるので、それらを観ておく必要はあるかもしれないけど、単なるノスタルジーだけの映画ではなく、素直に日本での人々のドラマとして楽しめたのは良かったな。<以下核心メモ>
森山未來演じる外科医の菊池に六子が恋に落ちるのだが、彼には悪い噂が…という事で六子が悩む事に。ただ、それは真実では無く、実際には病院から禁止されていた無料診療を行っていたという菊池の優しさが真相。そんな2人だから、晴れて結ばれる事になるわけで。教会での式は華やか…だけど、ライスシャワーが珍しかった時代の描写が面白い。それにしても、森山未來の疑われている時の軽薄な演技は見事w
一方の茶川の話は、彼の父親への誤解が描かれるわけで。勘当されたと思ったのだが、それは小説家という不安定な職業を目指した息子に対し、親心で背水の陣を引いたというもの。一番の読者が父親であり、葬式の日に買っていた雑誌の毎号に一筆の感想を挟んでいたという件は胸が熱くなる。それが、自分の本心で小説家になりたいと言う淳ノ介に勘当の様な形で追い出すという、茶川の本心とは違うけど親心を見せるというラストに繋がるわけで。
しかし、今回は鈴木家の一平は殆ど出番が無かったな。あの時代の普通の中学生という事でいいのかな〜、と。