日本のいちばん長い日

未見の作品としてレンタル。
太平洋戦争末期、御前会議での降伏の決定から翌日の玉音放送までの1日を描いた映画。ただ、そこに至るまでのポツダム宣言が出されてから降伏の決定で、タイトルが出てくるまでが長い。そこから、玉音放送に至るまでの時間で、160分ほどのドラマをどうやって紡ぐのか…と思ったら、放送の内容を決めるまでの物語のほかに、降伏を良しとしない軍人達のクーデター未遂「宮城事件」まで描かれていると知り納得。
確かに、これだけの事象があったのであれば、24時間を160分で描いても足りないくらいなんだろうな…と。当然の事ながらキャラクターも多く、入り組んだ物語ではあるのだけど、それらの事象をテンポ良く見せているので尺の長さは全く気にならない。
尺が気にならないもうひとつの理由としては、正にオールスターキャストの出演陣。陸軍大臣の阿南を演じた三船敏郎や鈴木総理大臣の笠智衆を初めとして、良く知られた名優が「これでもか」とばかりに次々と登場するのだから。東宝の35周年での製作という事もあるのだろうけど、これだけ集めたものだと感心せずにはいられない。
この映画、1967年の製作でありながら白黒の作品。内容故に戦中の記録映像や写真が多様されているので、白黒映像でも馴染んで良かったのだと思う。ただ、白黒作品でありながらも、夏の空の暑さや、終盤での血の紅さが感じられるのは、撮影等の見事さなんだろうね。
内容故に、説教臭い、もしくは思想が入った様な映画かと思っていたが、実際のところは事実を踏まえながらも娯楽としても丁寧に作られた映画だったんだなぁ、と思えた。勿論、まだ戦後の雰囲気が残る作品なので、当時の緊張感や戦争からの平和への願いが強く見えるのは感じられたが。
日本のいちばん長い日 [DVD]