武士道残酷物語

未見の作品としてレンタル。
レンタル屋を物色していた折に見つけたタイトル。インパクトの大きいパッケージで、どれだけギラギラした映画かと思っていたけど、本編は白黒で抑え目のトーン。まぁ、1963年公開だから当然か。
戦国時代から現代まで、7代に渡って異常なまでの忠義に身を捧げてきた家系を、現代の登場人物がその記録から振り返るという形で綴られる物語。それら7代の役を、全て中村錦之助が演じるというというのはウリではあったけど、それぞれで若年から老年近くまで見事に演じ分けていたのは見事というか。
最初の戦国時代でお家の問題を解決する為に腹を切る・・・というのはまだ判る。2代目が主人が死んだのを受けて、謹慎の身ながらも後追いで腹を切るのもまだまだ。しかし、3代目は男色の主人に弄ばれた挙句に不義密通で去勢されるわ、4代目は娘を嫁として供出させられただけでなく妻も殿様の寝所に呼ばれた事で自害し更に戻ってきた娘とその恋仲の弟子を殺す羽目になるという散々な流れ。そして明治となった5代目は、良かれと思って面倒を見た元殿様に恋人が襲われるという裏目の結末が。ここまで来ると、太平洋戦争で国の為に特攻したというのには何のドラマも無いという恐ろしさ。7代目は現代の会社で、婚約者がライバル会社にいる為に、一度決めた結婚を部長に先延ばしにされそうになるという、今なら"パワハラ"で訴えられそうな展開が泣ける。
とにかく、日本の中で上に仕え、忠義に徹しすぎると大変な事になるというのを、2時間で表現した映画だった。高度成長に差し掛かる60年代なら、尽くし過ぎる事に批判があってもまだ納得は出来るものだったとは思うが、今の感覚で見るとやっぱり変だというかねww
それでも、戦国時代から江戸時代までのエピソードでは、今の映画で忘れられた様な細かい所作があちこちに盛り込まれているのは実に楽しかった。履物は脱いだ後に、ああやって揃えるのか・・・等々。
他には、予告が入っていたけど、当時の予告にはメイキング的な映像も挟まれていたのは興味深かった。そして、予告で見られる三田佳子が実に可愛いもので。
武士道残酷物語【DVD】