るろうに剣心

テアトル3、評価★★★☆
同名漫画の実写映画化。コミックスもアニメも未見。
原作は長い物語になるのだが、映画では緋村剣心の「殺さぬの誓い」を軸に立てた物語となっており、キレイにまとまった感がある。ただ、いくつもの要素やアクションを強めにした事で、展開に抑揚が無かった気もするのだが。
剣心を演じたのは佐藤健だけど、確かにこれ以上のハマる役者はいないかも。動きに対応できて、弱そうな雰囲気から感情の爆発まで出せるのは、そうはいないだろうし。とにかく、シーン毎での表情の変化は見事。
そして敵対する鵜堂刃衛を演じた吉川晃司、斎藤一を演じた江口洋介は、その身長もあって存在感は十分。まぁ、そんな事を言っていても武田観柳を演じた香川照之の存在感には負けるのだがw観柳によって、殆ど物語が展開する事もあるのだが、それ以上に楽しそうに演じた香川照之の魅力というか。最後の最後まで味と言うか存在感を見せ付けたのは「龍馬伝」で使いこなしていた監督の裁量もあるのか。
この映画、アクションは素晴らしい。大体のアクションは予告で見せていたのだけど、それでも映画の中で流れとして見ると素晴らしいとしか言い様が無い。従来の殺陣ではなく、ワイヤーアクションを多用したカタナアクションという趣はあるけど、とにかくそのスピードには圧倒される。このあたり、ワーナーが制作に入っている事で、海外セールスも踏まえてのテンポなのかとも思ってしまうが。<以下核心メモ>
アクション自体のテンポはいいのだが、観柳の屋敷に入ってからの剣心と佐之助それぞれの見せ場となる1対1の戦闘が長かった。特に剣心のほうは、逆刃刀のくだりがあるにしても、そこだけ強調しすぎて飽きが入ると言うか。
物語の展開としては、戊辰での斎藤との因縁,剣心と薫の出会い,道場破りというか地上げを倒して逮捕された先での斎藤や山県有朋との再会,人斬りであった頃の回想で頬の傷のくだり,牛鍋屋での観柳との顔を合わせた後に左之助との立ち回り,観柳が仕掛けた毒で苦しむ町の人を高荷恵が救う,観柳邸へ恵を救出するための突撃,薫を人質にした刃衛との決着…という感じになるのだが、どれだけ原作からの要素なのか…。
それにしても、刃衛のやりかたに怒りを顕にした時の、佐藤健の気迫のこもった叫びはすばらしかった。その感情の爆発が見事であればこそ、刃衛の術から解けた薫の制止でとどめを刺すのを止めるシーンが生きてくるのだから。
…そして、剣心がとどめを刺さなかったが刃衛が自ら命を絶ち…というシーンの後での観柳邸での逮捕シーン。観柳というか香川照之が「こっちのポケットにお金があるから」とか「脱げた靴を拾っていいか」等々で去り際まで存在感を示すとはwおかげで、剣心が去ってしまったと早とちりした薫の前に、剣心が野菜をを持って現れ優しく終るという素敵なシーンの印象が弱まるというか、ねぇww