伏 鉄砲娘の捕物帳

フォーラム6、評価★★★★
南総里見八犬伝」をベースにした小説をアニメにしたもの。小説とは構成を変えているみたいだけど、主人公である猟師の浜路の成長を描いた物語。
江戸時代を舞台にしたものではあるけど、完全に再現したのではなく、独特な雰囲気を持った世界観で展開される物語は素直に面白い。何より、画面上に色が散りばめられている華やかさは、普通の時代劇では見られないもの。
浜路は、犬の化身たる"伏"を狩る為に兄の道節に呼ばれるのだが、その"伏"である信乃と出会い・・・という物語。人や伏の生死を扱っているもので残酷な描写もそれなりにはあるけど、柔らかい線で描かれた暖かいキャラクター達の織り成す物語には素直に入っていけた。そんな江戸の人達に会ったからこそ、浜路が女に成長していくというか。
物語の展開として、滝沢馬琴も登場してきてビックリと思ったら、原作小説にも出てきたとか。広がり過ぎる物語をまとめる為に・・・という事らしいけど、この映画の中の役割はまた違うものであったかな?
大人が見て楽しめる活劇ということで、面白い作品だったと思う。<以下核心メモ>
江戸城へ家定を倒すべく乗り込んだ信乃を助ける為に、浜路は買ってもらった着物で女性としての容姿で向かうのだが、それでも裾をまくってのスタイル。そんなスタイルでも、犬の姿で家定を倒しながらも生珠を食らわずにいた信乃に追いつき、その思いを告げた時に結んだ髪がほどけ、初めて少女らしい姿になるシーンは実に印象的。
ひとまず、8匹の犬のうち6匹が殺されているところから始まるのだが、7匹目となり浜路と道節が討ち取る太夫の死に様が浜路に大きな影響を与えるもの。ただ、浜路に託した手紙の内容をいまひとつ理解できなかったのが・・・。
道節と船虫の間に子供ができるのだが、前半でもう少し2人が男女の関係である事を示しても良かったかな、とは思う。