007 私を愛したスパイ

見直す為にレンタル。テレビ等で見た覚えが。
イギリスとソ連原子力潜水艦が消息を絶つという事件が発生し、007とソ連の女性スパイが組んでこれを追いかけ、海の世界を作り地上の世界は核で破滅させようというストロンバーグと対決するというもの。本編も007らしい面白さだけど、これはまたメイキングが面白い。
まずは冒頭のスキーシーン。スキーで滑走し、崖からダイビング・・・降下する007のパラシュートにはユニオンジャックが・・・という実に007的でユーモア溢れる大好きなシーンだけど、かなり危険なスタントで、1発撮りなのに複数台あったカメラがたった1台しか捕らえてなかったというハラハラさせられる撮影。でも、その1台のおかげで長回しの印象的なシーンになったんだと思う。
この映画ではストロンバーグの基地であるアトランティスや、潜水艦を捕獲するタンカー等の印象的なミニチュア撮影があるのだが、「イギリスにこんな大きなプールがあったのか?」と思ってたら、海らしい屋外での撮影。しかも、タンカーは巨大な模型を作り、その模型のみで撮影をしたというのだから素直に驚きだ。
そして、久々に"らしい"ボンドカーとして登場してきたロータスエスプリのカッコよさ。潜水モードの無理さ加減は今となっては可愛いものとしても、やはり走る姿はカッコイイ。2台必要だが生産に間に合わないからと、相談したコリン・チャップマンから譲ってもらったとかの話はクルマ好きとしても惹かれるエピソード。そして、潜水モードは勿論、クルマとは違うものではあるけども変形過程のカット毎レベルでの模型の作り分けとか、いかに007が人気シリーズとして脂が乗っていたか分かる様な話。
クライマックスはタンカー内の基地。いつものパインウッドスタジオかと思いきや、それよりも大きなスタジオを作ってしまったとかで。ケン・アダムスのデザインも凄いけど、それを形にしてしまう映画人の働きにはただただ感心するばかり。
それでも、ハリー・サルツマンの金銭等の問題から製作がアルバート・R・ブロッコリの1人のみになっての作品になったとか、原作からの権利の問題とか諸々の障害を越えて作られた映画だったんだなぁー、と。しかし、エジプトの御飯が不味いからと、プロデューサー自らがスパゲティを作ってふるまうとかいい話じゃないか。
この映画と言えば、魅力的な悪役としてのジョーズの存在を抜きには語れないんじゃないかと。巨大で奇妙な悪役だけど、どこかコミカルというか。まぁ、コミカルさの匙加減の良さは、この映画全体に言える事だけども。
007 私を愛したスパイ 特別編 [DVD]