四十七人の刺客

未見の作品としてレンタル。
いわゆる忠臣蔵を扱った映画ではあるけれど、松の廊下での刃傷から始まる展開でなく、更に物語も大石内蔵助米沢藩江戸家老の色部又四郎の駆け引きがメインとなるもの。
討ち入りもあるが、ホントに終盤に一気にくるもので、その終わりも内蔵助が吉良の首を切る描写で締めるというのも意外なもの。もっとも、その最後の舞台となる吉良邸が迷路状の壁で作られた庭があったり、扉の奥を板戸で固めていたり、更に落とし格子の仕掛けがあったりと、従来の屋敷というよりも"城攻め"の様相が強いもの。冒頭のシーンが、討ち入りの計画中で屋敷の図面を広げていたとこから始まるので、その攻略や準備というのも、この映画の面白さというところか。ただ、討ち入りもそうなんだけど、全編で刀の当たる描写が軽いんだよな…血は盛大に吹き出るのに…。
この映画、とにかくキャストが豪華。というか、細かいところまで実力のある俳優を配しているのだけど、ナレーションの醸し出す雰囲気も合わせ、往年の東宝オールスターキャストの大作映画の雰囲気が。市川昆が監督というのも、その雰囲気に一役かっているのかも。
内蔵助は高倉健。寡黙で優しさを持ちながらも、力強い内蔵助であった。やや、ぶっきらぼうなところがまたいい。それに対する色部又四郎は中井貴一。得意のハッタリの効いた演技は抑え気味ではあるけれど、高倉健を初めとして石坂浩二森繁久弥ともひけをとらない存在感はさすがというところか。そして、内蔵助と情をかわす、かるを演じたのが宮沢りえなのだが、これがまた堂々としていながら可愛いという。
やや空回りした雰囲気も無くはないけど、大作らしいエンターティメント映画を作ろうとする意思は見えるものだったか。
しかし、特典の製作風景がスチルしか無いのは残念だったなぁー。
四十七人の刺客 [DVD]