ホビット 思いがけない冒険

フォーラム1(3D)、評価★★★★
ホビット ゆきてかえりし物語」を「指輪物語」を映画化したピーター・ジャクソンが手がけたもの。元々、「ホビット」が「指輪物語」の前日譚であるわけなのだけど、この映画では原作以上に「ロード・オブ・ザ・リング」との繋がりを見せているわけで。導入が、ビルボが赤表紙本に物語を書いているところで、そしてビルボの誕生日というLOTRでは描かれなかった「指輪物語」の冒頭を使用するとか。
そんなわけで、LOTRを意識しつつも基本的な流れは「ホビット」に基づくもの。元々2分冊の児童文学を3部作の映画としたハズなのに2時間50分という長い尺なのは何故?…と思っていたのだけど、そんな心配をよそにした展開の早さと密度で気付いたらエンドマークといった感じ。
そんな密度があって、LOTRとの関係で暗い物語になるのかと思いきや、13人のドワーフの個性や面白さは原作同様。ゴブリン達との戦いも緊迫しながらも可笑しさもあるという感じ。
しかし、このバランスで行ったら3部作の3本目は何を描くんだ…という心配もしてしまうが、とにかく続きが楽しみだ。
そういえば、3Dでの上映だったけど、あまり効果的だったとは言えなかった様な…。パンフレットを読む限り、3Dを意図してのハイテクを用いた撮影だった様なのだが。<以下核心メモ>
1本目では、ワーウルフから逃げて大ワシに助けられるところまで。ただ、追われるのがワーウルフだけではなく、オーク…トーリンと因縁のあるアゾクとの戦いであり、その結果にてトーリンとビルボの信頼が築かれるという事が描かれるのが異なるところ。その流れとして、故郷を思っているホビットと、故郷を無くしたドワーフという対比も見せながらで。
途中でのドワーフの繁栄とスマグウの襲撃による敗走、オーク軍団との戦いでアゾクによって父と祖父を失った、という物語が入るのだが、この辺りは「指輪物語」の追補編からインスパイアされた設定で、上手く構成したという事か。
主人公であるビルボとしてのクライマックスとなる、ゴラムや"指輪"との出会いは原作で読んでいて描いていたイメージ通り。なぞなぞ遊びもそのまま再現されており、その緊迫感があるシーンを適度なユーモアも交えて見事に描いていたものだと。ビルボが指輪をはめて消えた時の映像は、勿論LOTRでの効果を引き継ぐもので。
その他、LOTRとの繋がりを示すために登場したキャラクターとして、ラダガストがネクロマンサーの到来を知りガンダルフに教えたり、ガラドリエルがエルロンドの脇に立ち裂け谷でビルボ達と会うのは予告でも見ていたから知ってはいたが、まさか白の会議としてサルマンまでも登場してくるとは!しかも、まだガンダルフ達に近いので白い衣装での登場となるのだから。