未見の作品としてレンタル。BDでの視聴。
アメリカで起きたCIAエージェントの素性を国が明かし…というプライム事件を描いたもの。同時多発テロの後、イラクへ戦争に至る過程で起きた事件であり、当時のブッシュ大統領の演説等の映像がふんだんに使われたもの。米国内だろうがイラクだろうが手持ちカメラの不安定な映像である事を合わせても、ドキュメンタリー的な生々しさが滲むもの。このあたりは「ボーン・アイデンティティー」のダグ・リーマンと思えば納得のところ。
実際に名前をさらされたCIAエージェントの妻と、国の誤った見解を正すべく動いた夫をメインに据え、事件の顛末とそれに向かう2人の物語である。が、エージェントとして働いている時から危うく、バッシングを受ける中で壊れそうになる、夫婦の繋がりを描いており物語としてはそこが着地点だったのかなぁ、と。
何しろ、事件については前半はそこに至るまでの準備あり、後半で一気に事件としての展開が見える構成であり、108分という時間ではどうしても収まらないであろう…と見ながら思っていたのだから。
そして、妻が夫と足並みを揃えて公聴会に出てマイクの前に、というカットで終り。その直後に、妻のヴァレリー・プレイムを演じたナオミ・ワッツがマイクに向かう姿と同じ構図で、ヴァレリー・プレイム本人のニュース映像が出てきたから驚き。ここで、テロップだけで顛末が語られるけど、これを見た瞬間にそこまでの尻切れとも思える演出の意図が判って感心したというか。
イラク戦争開戦のいきさつを踏まえて見る必要はあるけど、期待以上に面白いドラマとして仕上がっていた様で。wikiで見る限りでは、事実はだいぶ踏まえているみたいだし。
ただ、こういう事件を扱っただけにメイキングとかミニドキュメンタリーとかが特典映像であれば面白かっただろうけど、何も無くて残念。