ジャックと天空の巨人

フォーラム3、評価★★★☆
童話の「ジャックと豆の木」を元にした映画と思っていたけど、更に「巨人殺しのジャック」という民話も含まれるものの様で。
ここに出てくる巨人は人間を食べ、過去に天空の地に追いやられたもの達という事で、地上の人間への恨みと共に食べるものという存在となっていて、明確な敵として描かれるのだけど、それはジャックをヒーローとして成長させるには十分なものだったのだろう、と。そんなジャックのヒーローとしての成長と共に描かれるのが、王女とのロマンスなのだけどこれが爽やかでいい。まぁ、王女はどちらかというとトラブルメーカー的なものではあったのだけど。
冒頭で寝物語として巨人と豆の木の話をしたものが、現実のものとしてジャック達の前に訪れ、そして最後には・・・という展開は素直にワクワクしながら楽しめた。前半の豆の木を伝っての冒険と、後半の地上での巨人と人間の戦いと、とにかくテンポがよく一気に観られる事ができた。パイを焼くとか、巨人の描き方にやりすぎ感もあった気もしないでもないけど、そこは映画的な面白さという事か。
王女は戦闘や冒険では役には立たなかったけど、終盤で出てきた金の鎧姿のキュートさはともかく素晴らしい。どちらかというと小汚い映像ばかりの映画だけど、正にその中にきれいな華を咲かせたというか。
今回は2Dで観たのだが、3D版はまた面白さが増した様な気配も。豆の木の高さや巨人の大きさだけでなく、森の追跡とか気になるシーンが多かったのは確か。<以下核心メモ>
冒頭の寝物語で出てきた、古代の王が巨人を抑えた王冠がキーアイテムとなるのだけど、この使い方が面白い。王国を乗っ取ろうとするロデリックが墓から掘り出したものを天空で使用し巨人を従えたと思ったら、争いの中で巨人のファロン将軍が奪って巨人達を従えるという恐怖に。最後にはファロン将軍を倒したジャックが手にして巨人達を従える・・・となるのだけど、王となったジャックが子供達に「その王冠はどこに?」と問われたら、装飾をされて立派な王冠になって現代のロンドンに保管されているという映像に切り替わり物語が終わるわけで。とにかく、このラストシーンは、冒頭から童話の話が現実のもの・・・という展開であったものが、更に現在の世界に繋がるという気持ちよさは格別。英雄譚が伝説でなく歴史であったと表現する面白さというか。
この映画でジャックや王女のイザベルそして騎士のエルモントと魅力的なキャラクターが多かったけど、特に印象深いのがブラムウェル王。はじめは娘を思う余り、城に留めて自分が気に入った男と結婚させようようという横暴な父親ぶりだったのだけど、途中から娘よりも国を守る為に豆の木を切る決断をしたり、最後の戦闘では率先して戦ったりと、正に王らしい人物として描かれていた。そこをシンプルにした事で物語に変な流れを作らなかったのも、テンポを良くする要因だったのかもしれないな、と。