探偵はBARにいる2 ススキノ交差点

テアトル6、評価★★★★
大泉洋が探偵を演じるシリーズの2作目。パンフレット中でも"プログラムピクチャー"と言ってるだけあって、前作と比しての約束事もきっちり守られており、同じ感覚で観ることが出来る。探偵が寄り付くバーのマスターを初め、いくつものキャラが馴染みの立場で登場するのは安心できるというか。そんな脇にも増して、探偵の助手となる高田の存在が今回は更にいい。ペアで行動するシーンも多く、コンビものとしての要素も更に増した感じ。
ただ、そんな馴染みのキャラを立てて登場させた事で、前半はやや"ごった煮"感が増して、ドタバタしている様にしか見えない展開はあった。それを覆す程の、後半での渡部篤郎の抑えた存在感や、クライマックスの展開が待っているわけで。そして、序盤で被害者として殺害されながらも、その存在が物語を引っ張るマサコちゃんを演じたゴリの存在感は素晴らしい。なんというか、真面目さが演技に出ているというか。
物語の展開は1人称であるため、探偵と同じ目線で情報を仕入れながらの物語…という事で素直な感情移入で楽しめた。
今作のパンフレットも、1作目と同様にマッチをモチーフにしたケースでカッコいい。パンフレット自体の構成も踏襲している感じで。<以下核心メモ>
物語の転換点であり依頼者であるのが、バイオリニストの河島弓子。マサコちゃんがファンで…とあったものが、実際には遠い昔に親に捨てられ離れ離れになった兄妹という事で。そこにたどり着くまでにマサコちゃんの本来の故郷である室蘭のシーン、さびれた住宅を写した時に一瞬だけ華やかな時代のシーンが入るのが印象的。それがある故に、ラストシーンで妹にバイオリンを教える回想シーンの幸せさというか華やかさが滲むというか。
物語の展開で敵として描かれ、マサコちゃんの過去を知る故に殺したと思われた議員の橡脇。ここで気になったのが橡脇の掲げる"反原発"の姿勢。これが、思想とかを抜きにして判りやすい正義として扱われただけならいいのだけど…。探偵とのやりとりのシーン後に描かれた、子供達とのシーンがあまりにも狙いすぎというか。変に偏った人たちに誤解とか利用されなければいいけど…。
真犯人は序盤から橡脇を倒す為に協力する風俗店呼び込みの"学生"。マジックで有名となったオカマのマサコちゃんが妬ましいという理由だけでの殺人は実に短絡的だけど、ある意味今らしいのかもしれない。そんな短絡的な男が出てくるからこそ、兄妹の関係やススキノの中間達、そして探偵と相棒という、人と人との信頼というか暖かさが生きてる映画なのじゃないか、と観終わって思ったりも。