オブリビオン

テアトル6、評価★★★★
トム・クルーズ主演のSF映画。監督が「トロン:レガシー」の人という事が前面に出ていた宣伝で、やや不安は観終わってみればSFとしても人間ドラマとしても満足できるもの。確かに「トロン〜」と共通するビジュアルのイメージはあるな、とは思って見ていたけど。日中の映像が印象的だったけど、それを生かす為にも3Dにはしなかったというのは興味深い。
宇宙人の侵略で核兵器まで使用して勝った為に荒廃した地球で、人類が移住する為に水を確保する装置を見守り、無人で地球上の監視を行うドローンのメンテナンスを行う主人公のジャック。それの雲の上の家で共に暮らしバックアップするヴィクトリア。2人とも昔の記憶は無いけど、ジャックには平和だった地球上でのある女性との夢を見る・・・という導入。
話が進む毎に、色々な要素が描き出され、それらが繋がっていくのだけど、その流れがスムーズで素直に追いかける事ができる。ニューヨーク近辺が行動の舞台であるのだけど、時々挿入される廃墟となったNYのシンボルの数々がドキッとさせられる様に挿入されるのもいいアクセントであったと思える。
それでも、SF的なトリックよりも人のドラマが軸である物語であったのだが、それ故に素直に観る事はできたのだろうけど。ただ、ラストの展開は若干モヤモヤしたものが残るんだよなー。意図とかは判るのだけどね。<以下核心メモ>
物語の転換点として、エンパイアステートビル跡から発信された電波で宇宙船が落下するのだけど、実は過去にジャックやヴィクトリアも乗っていた宇宙船だったというもの。一緒に乗り込みながら、睡眠状態であった妻のジュリアは、地球の危機の原因であったテットに宇宙船が捕らわれる際に、睡眠区画を切り離して・・・というのが事の顛末。しかも、この映画に出てくるジャックとジュリアは複製された人間であり、それ故に記憶が消されていたというもの。ただ、クローンでなく複製であるが故に記憶の欠片があったり、本来興味を持たないはずの書物に関心を持ったりと。
このあたりの仕掛けのばらし方が素晴らしく、冒頭から言われていた放射線での汚染区画も複製されたジャックがそれぞれ区切られたエリアを担当している・・・という仕掛けになっていたのには感心。2人のジャックというかトム・クルーズが闘う姿はコミカルであったけど。でも、そういう展開があればこそ、ポッドのメカとしての使い方もあるわけだし、テットで自爆したジャックに変わってもう一人のジャックがジュリアのもとに・・・という結末になっていたのだけど。ただ、複製とはいえ経験の差があるから、同一人物として受け入れられるのか・・・というモヤモヤ感はあったな。
地球を襲った宇宙人として言われていたスカヴ、実は地球で生き残ってゲリラ戦を行っていた人間であったという。そして、実際に地球を滅ぼしたのは機械のテットという事なのだけど、その展開が不親切な気もしたのだが、もしかしたら見落としがあるかもしれない。