ガッチャマン

テアトル3、評価★★
アニメ「科学忍者隊ガッチャマン」の実写映画化。想像していた以上に、オリジナルからの要素を省いたものになっていて、逆に驚くくらい。
先に見たOVA版や劇場版では、いつの間にか構成されていてメンバーを選んだ理由は?…ってところが曖昧だったところを、G粒子を発する石の力を発揮できる"適合者"から選抜されたという設定を軸に置き、ギャラクターの存在も含めてそれらに関する展開の物語に。
その設定を使った事のせいか、物語がややこしくなってるというか、ガッチャマンとしての戦いの描き方が曖昧になっているというか…。健とジョー、そして過去に共にいたナオミとの物語が軸になっている事で、他の3人が添え物になっている感じがしてならない。あと、"任務か仲間か"という事を通して語られるのだけど、想いの転ずるきっかけには、あの展開では弱かった気が。
しかし、南部博士が妙に小物になっていたのが気になってしまった。世界観なりの実力者である事は窺えるのだけど、幼い子供にギャラクターを倒す様になる事を半ば強要する様な演出には、原典を見た後だと少し悲しくもなる。
それにしても、冒頭の新宿でのキャタローラー戦は白組のVFXも素晴らしく、面白く見る事もできた。ガッチャマンのスピード感溢れる空中戦もオリジナルのイメージからは遠いけど、今回の設定を考えれば、それらを生かしたいい演出。全編に渡って入る白組のVFXは、またその先を期待させるもので満足。
キャストも当初は、最近の時流に乗った様な剛力彩芽のジュンや、どちらかというと爬虫類的な綾野剛のジョー…等々はどうかと思ったけど、今回の作風や脚本を踏まえればベストな選択。剛力さんは、意外に控えめでキュートだったり、ドレス姿が綺麗だったりと、見所多かったな。
本編前に、日テレの「ZIP」でやっているらしいガッチャマンのギャグアニメを流していたけど、今回の実写でこれだけ設定や雰囲気を変えたのだから、直前にオリジナル版の雰囲気が強いそれを流すのは正直どうかと思うものであった。<以下核心メモ>
オリジナルで宇宙から来たのは総統Xだったけど、今回の映画では宇宙から来たのがウィルスXであり、それに感染したのがギャラクターという設定に。そして、総統Xに作られたミュータントという設定であったものが、ウィルス感染で出現したギャラクターの指導者として登場した…というのが映画でのベルクカッツェ。このベルクカッツェ、短い寿命でか代替わりをするという存在になるのだけど、その3代目として出てきた正体が健やジョーの幼い時からの仲間で、ジョーと婚約したナオミ。そのナオミを倒すのか…という展開がクライマックスのドラマにもなるのだけど、健の"仲間と任務のどちらを優先するのか"という事と合わせて展開されるのだけど、気分的になかなかハッキリしないので、ややもやもやした感じ。しかし、ナオミを殺し、そして中盤で亡命のドラマを展開したイリヤは、ナオミになってしまったのだけど、イリヤ自体はどうなったんだ?それについて語る台詞は無かったな。
クライマックスとなるのは、G粒子のビームを発射するモスコーンが、発射キーとなるカークランド博士と共にギャラクターに奪われ、その発射を阻止するというもの。東京以外の標的は設定変更で外すけど、コントロールを失ったために東京が危ない…というところで、モスコーンを阻止する為にベルクカッツェが退避に使用した要塞(これがタートルキング!!)をぶつけるという事で決着。
ガッチャマンが、タートルキングに向かうのに使うのがゴッドフェニックスだけど、まさかの試験飛行もしていないとか…危機感を高めてるんだろうけど、全然盛り上がらないよ…。バードミサイルは健在だったけど、それにこだわるジョーの演出が無かったのは残念w科学忍法火の鳥は、破壊したタートルキングよりの脱出から大気圏再突入までに炎を纏った姿…という、気の抜けたもの。コクピットが全天スクリーンでシートしか無いのが素っ気無くて残念…って、予算の都合だろうかね。
ラストはそのコクピット内の他愛無い会話で締めるのだけど、ジョーが「お前ら…最高だぜ」と言うのは、コンドルのジョーとしてはあり得ないけど、今回のジョーなら有りなのか…でも、大きな違和感が。
そしてエンドロール後、ナオミからベルクカッツェを引き継がされて、石の活動停止でギャラクターとなったと思われるジョーの姿が描かれるけど、続編を作るのかな…??