大洗への旅〜「ガルパン」の舞台めぐりをしてきた話

昨年の秋期に放送された「ガールズ&パンツァー」。その主人公達の学校の地元として設定された、茨城県大洗町へ行ってきたわけで。

劇中で登場し印象的な使い方をされた所を見たいというだけでなく、放送中だけでなく、放送終了後に至るまで町とこの作品との関わりの大きさが大きく、面白い事をやっていたので、その様子を見たかったというのが、行ってみた理由。
今回の旅行では、スマホで「舞台めぐり」というアプリ*1を活用。劇中に登場したシーンと現地をマップ上で示して、どんな使われ方をした場所がどこにあるか…というのが殆ど下調べをしないで行っても、手元だけで判るというありがたいもの。Androidだけじゃなくて、iOS版もリリースされてる様で。*2


大洗町に行ったわけなのだけど、その手前の水戸で寄り道し"クックファン"という食堂へ。

劇中にも登場したこの店、その中で出てくる戦車型のトンカツを"ガルパンカツ"と称して出しているだけど、偶然というか成り行きだけでなく、アニメの立ち上げ時点から「大洗を舞台にするアニメ」という事で協力していたという事の様で。
そんな事もあって、店頭はこんな感じに応援の横断幕も。店内にはキャストのサインやファンのイラストもいっぱい。それでも、行った当日も確かにアニメのファンであろう人はいたけど、地元の人もそれなりに入っている店という感じ。勿論、ガルパンカツ…特に砲塔部分のメンチは旨かった…。


大洗町に入ってからはタワーが目印となるアウトレットを基点として関連地を歩いてみる。
街中は練習試合と凱旋パレードが主な登場エピソードとなるのだけど、凱旋パレードのルートについては、大洗駅での集合からアウトレット側に向けてのパレードの流れが歩いてみてハッキリ感じられたというもの。



一方の練習試合でのシーンは帰ってから本編を見比べてみて整理すると、街中の特徴的なポイントは押さえてはいるけど、厳密に町の広がりは再現していないというもの。どちらかというと、特徴的な建物を登場させて大洗の町を再現しているというか。クルマで運転すると更に判るけど、道はだいぶ狭いのねw

例えば、このポイントは試合前に屋台が並ぶシーンと、試合の決着が付くシーンで、それぞれ別の場所として使用されているとか。アプリで確認していて疑問だったのだけど、本編を見ると「なるほど、こういう使い方か」と納得できるというもの。

しかし、空間的な広がりの絶対的な一致は無いとしても、劇中で見た特徴ある建物(のモチーフ)が実際に目の前にあるというのはワクワクするもので。特に、マチルダの突っ込んだ肴屋本店にはニヤニヤが止まらないというかw





そんな中で個人的にツボにはまったのが、劇中で主人公達が大洗の街中に逃げ込むルートに使った大洗神社から下りて鳥居をくぐって海沿いの県道2号に抜ける道。そのルートでクルマを運転すると画面で見た景色の中を移動している雰囲気が満載で実に楽しいというか。*3


他には、アウトレットの描き方が実にそのままだったというのが素直な驚き。見た印象もそうだけど、実際に行って見て港や海との距離感が近く、学園艦が寄航*4した時には気軽に寄れる場所なんだよな、と実感。実際、アウトレットからカーフェリーのさんふらわあ号が入港する様子も見られたわけで。



こんな感じで歩いてみると、思った以上に"大洗という町を生かした作品"だったんだよなとよく判る。


そんなアニメとの連携から始まったのが、キャラクターと戦車のパネル。色々なところになるのだけど、存在範囲がかなり広くて全部網羅するのは大変というかw*5


これが、ただ置いてあるのではなく、それぞれの店で特徴をいるのが面白い。ダージリンの脇には紅茶のセットを置いたり、お好み焼き屋の前では1年生チームに関連した飾りがあったり。歴女チームなんかは、イベント合わせか何かで集合したりと、仕掛けているほうも楽しんでいるんだろうな、と感じるもので。


戦車でもこちらのIV号戦車(H型)は凱旋パレードで曲がってやってくる交差点の店にあったのだけど、手書きの解説が付けられているという。こういうものは素直に嬉しくなる。

面白かったのがこれらの公式のパネル以外に、ハンドメイドの看板等が多く見かけられたというもの。便乗とかでも、こういう流れに乗れるのは実に素晴らしい。それぞれに絶妙なクオリティであるところも、見に行っている身としては楽しい。

流れに乗っていると言えば、ガルパンに関連したサービスを提供している店も見かけた。旅館でのパックは勿論のこと、玩具屋ではうちわを売っていたり、先のお好み焼き屋は1年生チームのシンボルマークをモチーフにしたメニューを出していたりと、工夫が面白い。

駅のインフォメーションセンターはガルパン展示がメインだったけど、その中で色々な企業が自分達の得意分野で関連商品を作って展示していたのだが、こういうムーブメントがある時に、できる事でどうやって乗っていくのか…というのは実に大事なのだろうね。
駅というか鉄道会社もラッピング電車の運行もしていたりで、大きな働きをしているわけで。ラッピング電車は時間が限られているけど、構内の関連展示も面白いというか。


あと、街中で目立つのは"大洗女子学園の優勝"を祝う旗。想像していたよりは少ない気がしたけど、それでも色々なところで見かけるので、作品を見ていない人はホントに地元の高校が何かで優勝したと勘違いするんじゃないかと心配してしまうw*6




他には、街中で色々なところにキャストのサインを多く見かけた。結構、現地を訪れているという話は聞いていたけど、実際に目にすると良好な関係なんだろうなぁ、と思うもの。

そんな街中を利用して、スタンプラリーも開催されていたので自分も参加。今回でパート2という事なので、盛況なのであろう。
自分が行ったのが金曜から土曜という事で人出は少なかったと思うけど、実際に街中を歩いている人はガルパンツアーであろうという人達が殆どだった。街中を歩いていても、いわゆる地方都市の雰囲気が強く、道も狭くて正に古くからの漁師町から発展した都市なのだろう、と感じるもの。少し歩けば魚や海産物を扱う店が目立つとはいえ、なかなか観光客は入ってこない場所だろう。港近くに土産物屋があったし、自分の行った翌日にあったしらす祭りの様に、海産物の旬に合わせた祭りというのも多いみたいだし。




自分もガルパンが無かったら、大洗のイメージは夏の海水浴場と水族館くらいしか無いから、あくまでも"点"でしか大洗町を見なかったのだろうとは容易に想像できる。それが、スタンプラリーと舞台めぐりで街中を平面的に捉えて観光できたというのは、改めて考えると興味深いし面白い。そういう人達に向けて、商店街が頑張ってるんだろうな、とも。でも、それがなんとなくでなく地元の人達も楽しんでるんだろうなと思えるのはいい。スタンプラリーで立ち寄った肉屋さんが「色々飾りが増えて何屋か判らない感じになっちゃった」と笑いながら話していたのが印象的。
こういうものを見ていると、どうしても今年の大河ドラマ「八重の桜」で盛り上がってる会津若松の事を考えてしまうもので。七日町みたいに独自な取り組みをしているところは別として、ドラマ館やお城等の有名な拠点をメインとした観光客の誘致や、関連キャラクターの使い方に勿体無いところは無いか…という感じで。勿論、都市の規模やターゲットが異なるから同じ事は出来ないけど、完全な観光客の視点で見れば大洗町のほうがただの街中なのに面白さはあったと思えたのだけど…色々難しいなw


細かい話はさておき、テレビでの放送が終ってから半年以上。それでも、OVA版や映画版を控え、首都圏の地上波では再放送も始まったりと、まだまだ大洗町ガルパンとの関わりは続きそう。
そんな関係が続く間に、また訪れてもいいのかな…と思える楽しい旅行になった。郡山からだと日帰りでもなんとかなりそうだし。それに、あんこう鍋も食べて無いからね!

*1:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.linknetwork.anitrip

*2:https://itunes.apple.com/us/app/wu-taimeguri-garuzu-pantsu/id680489568?mt=8

*3:複雑な交差点で信号もあるので、運転には注意が必要だけど

*4:見ていない人の為の説明。劇中の学校は大洗の町でなく、大きな船の上にあるのですよ

*5:大洗町の観光サイトから、所在地一覧の印刷用画像ファイルは取得できるけど

*6:文字だけなく、絵も入ってるから実際は勘違いしないと思うけどww