オール・ユー・ニード・イズ・キル

テアトル3、評価★★★
"日本原作"というキャッチコピーで宣伝が繰り返されていたけど、紛れも無くトム・クルーズの映画という感じ。序盤の駄目な男から、巻き込まれた戦闘で日常を繰り返す中での成長でのカッコよさと、トム・クルーズの演技の幅を上手く使ったな、という感じ。
死んでその日を繰り返すという物語であるのだけど、その死に方がその日の戦闘で殺されるものだけでなく、演習だけでなく些細な瞬間に死ぬというテンポと悪趣味さは面白い。その辺りの悪趣味な笑いのセンスは「Mr.&Mrs.スミス」のダグ・リーマンらしいというか。
もちろん、その繰り返すという要素を生かしてのクライマックス前の仲間の集め方は上手いと思ったり。
状況を追うのが忙しいけど、SFアクションらしい面白さのある映画だったかと。<以下核心メモ>
特定の1日を繰り返すのが、体質とかなんとなくというわけでなく、特定の敵の血を最初に浴びたからという設定が面白い。同じ経験をした女性兵士が英雄になっており、輸血によってその能力を失っていたという説明的な内容も、物語を盛り上げる要素として上手く使われている。
クライマックスはルーブル美術館の地下に眠る敵をどう攻略するかという事。この時点で、すでに輸血されて能力を失っているという事での緊張感もあるけど、その作戦に引っ張り出したチームへの説得が、これまで繰り返したすでに知っている各個人の情報を話すだけでなく、英雄である女性兵士を担ぎ出すところで大いに盛り上がる。
その敵を倒しながら息絶えそうになったところで、再度敵の血を浴びて能力を得るけど、起きたのはそれまでの繰り返しよりも前の時間で、なおかつ敵を倒した事が有効になっている状態の世界。便利すぎる展開にも見えるが、人類に大きな希望を持った形で、なおかつ作戦で命を落とした仲間達が生きているという事も含め、希望のあるいいエンディングであったと思う。