劇場版仮面ライダー鎧武 サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!

テアトル3、評価★★☆
放送中の「仮面ライダー鎧武」の劇場版。タイトルにある通りにW杯の年に被せてか、サッカーとの絡みがあるとは聞いていてどうやるのかと思いきや、平行世界の物語という最近のパターンに嵌ってる気が。
平行世界で、平和を願うオーバーロードの少年ラピスと、それに対する様な世界を支配したがる神の世界でのアーマードライダー達が…という話。ラピスの平和を願う気持ちと、人々の持つ闘争心への諦めの中に、絋汰が現れてその想いが変わっていくというプロットはいい。劇場版らしくテレビでは退場したキャラを出すための平行世界もいい。が、よくもまぁ最初からのオーダーだったとはいえ、サッカーと絡めたものだと思う。まぁ、厳密にはうまく絡んでいなかったけど。なんでも詰め込もうという感覚が、途中で飽きを感じさせる内容だったんじゃないかと思わずにはいられない。
今回凄いと思ったのがスーツアクターのアクションというか器用さ。バロンのサッカーでの動きや、新しいバイクを用いてのトライアルアクションで感心したと思えば、クライマックスでは鎧武とマルスの馬上でのアクションと、今まで以上にその動きに感服させられた。日本の等身大ヒーローには、まだまだこういう可能性があるんだなぁ、と。
ただ、全体を考えると思い付きが勝って、映画としての面白さが損なわれた感があったのは確かなんだよなと思わずにはいられない。
あと、舞の化粧が強くて可愛さが減じてたのも残念だったなぁ…。<以下核心メモ>
マルスの持つロックシード、その力となるのがアーマードライダー達の闘争する心。このあたりをシンプルに取り入れたサスペンスでも良かった気がしないでもない。ただ、その延長として、マルスが裕也の姿を借りて近づきアーマードライダー達を巻き込んだ事への怒りから、絋汰も闇に取り込まれる展開は面白い。その取り込まれたという展開自体でなく、ラピスの助けがあったにしても内面で善悪の絋汰が並ぶイメージは素晴らしかった。今回は黒い衣装だったのが、そこで外見は黒だけども内面の違う絋汰の存在を際立たせる感じで。佐野岳もいい演技をしていたものだ。
サッカーの要素は序盤だけかと思ったら、取り込んだアーマードライダー達を失ったマルスの最終形態がゴールポスト状という。まさかと思ったら、ホントにサッカーをモチーフに攻撃をするのだもの。しかも、ラピスが変身した仮面ライダー冠が登場した途端にボールになっているのだから、もう笑うしかない感じ。そんなボールを使っても、ただのパスまわしになっていたのは残念。ゴレンジャーの如くパス毎に力が増す様な演出があってもよかったかもしれないけど、まぁ、乱戦の中を抜ける為のパスだからそれはそれでいいのか。