寄生獣

テアトル6、評価★★★★
漫画原作の実写作品。原作は未読だけど、放送中のアニメ版で序盤の概要はなんとか知っている程度。
その程度の知識でも、映画としてまとめる為にキャラクターや展開の構成を変えているのは判る。例えば新一の家族は母親のみであるという事や、Aさんの扱いの変更とかで。映画の尺自体が1時間49分と決して長いものでないので、妥当な手法ではあるけども、基本的なイベントは押さえてる感じはする。勿論、こうしていいのか…と思うところも無いわけでは無いのだが…。
映画のテーマとしてだろうか、種として生きる事や闘いというものは前面に出ている感じであった。それでも、山崎監督らしいクセというものはあまり感じずに、どちらかというと淡々と描写している様に見えた。まぁ、後編があるから、そちらでどういう風になっていくのか期待というか不安はあるけど。
予告で一番気になっていたミギーの声を演じる阿部サダヲであったが、不安を払拭するほどの自然な感じ。新一との息もピッタリで違和感を感じる間も無かったというところか。先にミギーの声を録って、それを聞きながら新一を演じたとか、口の動きはアフレコ時の動きに合わせているとか、工夫が多数あった様でそれが効果的に出たというところか。
後編でのドラマ展開の雰囲気は一気に変わる様だけど、前半は日常に広がる恐怖と異常な感覚が丁寧に描かれた良作であっと思う。<以下核心メモ>
前半では、寄生された新一の母との戦いまでを描くのだが、この映画で母に寄生するのはその前の戦いで死ななかったAさんという事に変更。大きな変更になるが、映画の限られた時間での展開としてはキレイに繋げたものだと。ただ、Aさんの職業が警察官になっていたのだが、田宮良子と共に新一と会うシーンが水族館であり、そこに制服でいるというのは苦笑するところ。ファミレスよりはマシではあるけど。そして、母の首を落とすのが新一自身であったのだけど、このあたりからのメンタリティは後半の展開に影響するものなのだろうか。勿論、変わりにその役目を負うキャラクターもいない展開ではあったのだが。
田宮良子が妊娠し学校をやめる展開は同じであるけど、人間の食事をとったり仲間の寄生生物に人間に馴染ませようと"実験"を進めるのは面白い。その思惑が、新一とは別の意味での主人公として存在している様であった。そこまでの存在感をキャラクターに出させる為の深津絵里の起用という事もあったのだろうが。そこに絡む政治家やその護衛等々が後半でどう活躍するのやら。
ヒロインの里美は新一の監視役として学校にいた島田の暴走で友人が惨殺される様を見て、新一がミギーと共に戦う姿を見たうえで病院で眠るところまでであるのだが、後編での新一との関係性がどう描かれていくのか気になるところ。しかし、島田から逃げる為に隠れたロッカーの中身が見事に空だったのが気になって。そういえば、島田との戦いが学校の廊下であったから、Aさんとの最初の戦いを魚市場という別の場所に変えたという事もあるのかもしれない。