イオンシネマ2、評価★★★★☆
｢宇宙戦艦ヤマト2199｣の新作としての劇場版。シリーズの途中に入るエピソードを映画という形にしたもの。
イスカンダルでコスモリバースシステムを受け取っての帰路に挟まれるというエピソードであり、本編で描かれたガミラスとの戦いの後に気づかれた友好関係も入っていたりと、正にその状況を効果的に生かした展開。特報から"敵はガトランティス"と言われていたけど、ガトランティスとの全面戦争ではなく一つの戦いというのは意外ではあったのだが、観終ってみると上手く使ったものだと感心するばかり。
正直、コスモリバースシステムの為に波動砲を封印したヤマトにはあまり魅力を感じていなかったのだが、今回の戦闘シーンはその印象を一変させる面白さ。そこにはキャラクター達の成長という要素もあって面白い。
あくまでも挿話という事で本編を見た人向けの内容ではあるけれど、2199のファンは勿論の事、旧作のファンもニヤリとさせられる要素が詰まっており、正にヤマト2199という祭りの最後を締める愛にあふれた作品であったと思える。<以下核心メモ>
冒頭から、ヤマトの旅立ちの時に月面で奮闘していた空間騎兵隊の斉藤が登場するという粋なキャラの使い方。
ガトランティスとの戦いにはなるけれど、物語の中盤は惑星シャンブロウでドメル艦隊の生き残りであるバーガー達と古代達との不思議な関わりが描かれるわけで。その舞台となるのは戦艦大和の外観を持つホテルであり、本編でも幻覚の様な攻撃をしかけたジレルの生き残りであるレーレライの仕掛けたもの。本来なら互いの疑心で潰し合うであろうバーガーや古代達が互いに理解しあう事で切り抜けるというのは、やはり2199でのテーマの1つをしっかり踏まえたものとして嬉しい。そして、その結果で姿を現すのがサブタイトルにある"星巡る方舟"である宇宙船となるのだが、その壮大さを見るとやはりヤマトという作品なのだよなという感慨に至る。そこまでの流れに古代アクエリアスという単語も出れば、旧作の完結篇をも彷彿するわけだし。
レーレライの仕掛けた世界、幻覚という事もあって他では見られないヤマト乗組員の私服姿というのも新鮮であった。
今回はメインヒロインのポジションとして桐生美影が活躍するのだけど、パンフレットにある監督のインタビューを読むと、今作での登場を見越して本編の終盤から登場させたのだとか。航空隊の沢村との関係も描かれたりしたけど、知的で活動的な2199の女性キャラらしい魅力には溢れていた。
ヤマトの戦闘において、序盤とクライマックスは古代が完全に戦闘指揮をとるというものであったが、これは旧作で古代が艦長代理として立っていた事への正当なアンサーなのだと思える。本編序盤で戦術長に自分は合わないと言っていた事からの成長ぶりを、本編のラスト以上に見せた気がする。それを頼もしくも暖かく見守り、必要なアドバイスは的確にする真田さんもまたカッコよかった。
