仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル

テアトル3、評価★★★
仮面ライダーのMOVIE大戦方式の映画。
鎧武編はテレビシリーズの後日譚となるもの。新たな敵としてメガヘクスと呼ばれる機械生命体を配し、その地球侵攻を防ぐのが物語の筋。ヘルヘイムの植物に対してのメカニクスで"個"という存在を消し去った存在との戦いになるのだが、やはりこの物語は本編の終わり方を考えると蛇足。地球に残ったアーマードライダー達のみで話を進めればまた印象も変わったのだろうけど、鎧武を出さないわけにはいかないもので。他の惑星の神となっていた紘汰の記憶を吸収したメガヘクスが作り出した戦極凌馬がその姿だけでなく、記憶や感情まで持っていたのには苦笑。そして、その時に作り出された戦極ドライバーがちゃんと機能するのは展開上仕方が無いとしても、どうも落ち着かないというか。でも、その流れから呉島兄弟のタッグ攻撃が描かれたのは、後日譚として素敵な事だと思う。
ドライブ編はルパンと名乗る怪盗を特状課が追うという事に、ドライブ誕生の裏にあったエピソードが絡むというもの。今まで明かされている展開を軸に、話を広げる様な設定が出てはいるけど、これが本編に生かされてくるのか。仮面ライダーの名前をかけたルパンとの戦いではあるけど、泊進ノ介の刑事としての力や、ドライブに選ばれた走り続ける気持ちの強さを見せる、ひとつの成長ものとして楽しく見られた。
MOVIE大戦パートは、鎧武からの流れにドライブを無理矢理組み込んだ形ではあったけど、前編戦闘というもの。その中に、前半で見られなかった紘汰らしさが魅力的に描かれており、進ノ介との掛け合いが実に面白く描かれていた。トライドロンの車内での様子はコメディタッチでもあり、仮面ライダーとしては実に新鮮なシーンになっていた。それぞれのパートでの展開の細かいところがどうでもよくなる感じの展開で、このパートだけで満足できるのではないだろうかと。<以下核心メモ>
紘汰がメガヘクスと共に地球に降りてきた際に死んだ描かれ方になるのだが、極ロックシードの中にあるデータから再生されるというのは、さすが神様だけあって便利だな、と。戦極凌馬のところで苦笑したわけだが、戒斗の登場では本編と同様の性格である故に、個を否定するメガヘクスに即座に敵対するという面白い展開に繋がるところに上手さを感じたりもするわけで。極ロックシードを取り込んだメガヘクスから、斬月がそれを取り出したのはどうやったのかは、いまひとつ曖昧であったのだが。
ルパンの正体は、スタインベルト博士がロイミュードに対するために、自分の意識を移すためのボディであり、そこに老齢であったルパンが意識を移したというもの。そこにチェイスのブレイクガンナーの技術を盗んで"仮面ライダールパン"になるのは便利過ぎるけど、面白い展開ではある。そのルパンとの戦いでベルトさんは停止してしまうのだが、修理したというより進ノ介の想いでなんとなく治ってしまったのは仕方が無いのか。特状課のメンバーに誰かにルパンが化け、それを進ノ介が解き明かした時、ちゃんとマスクの変装をはがす演出があったのは嬉しかったな。
MOVIE大戦ではライダー達に混じってロイミュードが共闘するのだが、その際にハートが個を否定するメガヘクスに対してロイミュード個人主義と言ってのけた展開は見事。鎧武とドライブの映画スペシャルのモードは、それぞれの特徴を入れ替えたもので、特にドライブに編笠の意匠が入っているのが面白い。その変身のままでトライドロンに乗ろうとして駄目だと諦めるシーン、その編笠がひしゃげたのが残念ではあったけども。