ゴーン・ガール

テアトル2、評価★★★★
同名の原作をデヴィッド・フィンチャーが撮ったもの。独特な雰囲気の中で描かれる物語は、正にフィンチャー節といったところではあるけど、とにかく展開がショッキングで。サスペンスではあるのだけど、着地点の意外さと、そこに至るまでの情報の量と出し方には、観ているほうの心も試されているのではと思わせるもの。
夫婦を巡っての物語であり、予告の印象とは全く違う展開が繰り広げられるのだけど、観ていて辿り着く感想が"結婚って怖い"という事になるのは仕方が無い事か。
それにしても、ベン・アフレックをはじめとして実にクセの強い役者を揃えたものだと感心するもので。複雑な展開で、それぞれの立場のキャラクターの思惑が絡むものではあるのだけど、役者も交えてそれらの個性が立っているからキャラの多さでの混乱は無かった気がする。
何にせよ、終わるまで"どうなるんだ"という緊張感に満ちた2時間半を過ごす事ができた映画であったと思う。<以下核心メモ>
妻の失踪…というより、夫であるニックが浮気をしたり自分に合わないと考えた為に出ていったものであったのだが、賢い女性であった為に、用意周到に準備していく様が恐ろしい。序盤から挟み込まれるように出てくる日記も下準備の一つであり、夫を嵌める為に自らの血を抜いてキッチンに撒いてそれを拭き取ったり、妊娠を装う為に妊娠した隣人の尿を採取したりと、徹底した計画っぷりには寒気がしてくる程。
そんな妻が犯したミスは、逃亡先で大金の存在や身分を偽っている事を見抜かれて、有り金を奪われてしまうという事。
でも、そこからの妻の行動がまた恐ろしく、高校時代のボーイフレンドを頼って無事に隠れる…というわけでなく、更に計画を練って、そのボーイフレンドを殺害するというのだから。しかも、セックス中にカッターで喉を切り裂くというショッキングなもの。
その血まみれの姿で、ニックの元に戻って互いの思惑を隠しながら世間には改めて夫婦として見せる事に。しかも、破棄したと思っていた凍結した精子で妊娠して出て行こうと考えていたニックを引き止めるのだから。テレビに2人で出演し、子供が出来た事を発表して物語が終わる訳で、何があったかは観ている方には明かされたけども、事件としては何も決着していないという事で、むしろ恐ろしさを感じさせる終わり方であったなぁ、と。