女囚701号 さそり

未見の作品としてレンタル。
タイトルはなんとなく昔から知ってはいたけど、なかなか見る機会も無かったもので、なんとなく刑務所での話なのだろうとは思っていたのだが、全体の流れとしては刑務所に入る切欠となった男への復讐劇という事で意外にドラマとしての筋もしっかりしている。
とにかく、松島ナミを演じた梶芽衣子の凛とした美しさが映える作品。刑務所での女囚姿も良いが、終盤の復讐シーンでの黒づくめのスタイルがまた素晴らしい。これだけの美人の主演でありながら、ヌードも厭わないのは時代故だろうか。あと、復讐される悪い刑事を演じていたのが夏八木勲で、そのスラッとしたハンサムぶりに驚いた。
"女囚もの"という事で、その中での看守からや同じ囚人からの暴力やセクハラの描き方が痛々しいが、70年代初頭という事を踏まえると、まだ付いていけるレベルか。むしろ、食べ物をぞんざいに扱う描写のほうが個人的にはキツいというか。
あと、映像表現としての面白さが随所に見られたのは面白い。ガラス貼りの下から撮ったレイプシーン、その後に復讐に燃えるナミの心を表す様な赤い光、シャワーでナミに返り討ちにあった囚人が追いかける時の隈取りや怪奇映画の様なライティング、終盤でヤクザがナミに殺される時の緑の光…と、サイケデリック雰囲気と日本映画の映像が混ざった様な印象的な映像が盛り沢山。特に、過酷な穴掘りから発展した暴動からのシーン、明らかにセットで背景がマットなのだけど、通常の背景画では無くプロジェクションの様な感じで、不穏な曇り空から暗くなって雨の前の稲光…と変化する様が舞台的でもあり素晴らしかった。他にも、カメラを真横にして縦長の構図を作り出したりと、当時の映画人の工夫の数々に感心すると共に頭が下がる。
決して大好きになってハマるタイプの映画では無いけれど、その中に秘められた情報と情熱を受け止める為にも見て良かったと思う。
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