テアトル2、評価★★★☆
実写版「寄生獣」の後編。アニメ版を見た後の鑑賞という事になったけど、エピソードの選択や繫ぎ方が実に見事。2時間を少しきるくらいの尺でどれだけ纏められるのかと心配はしたけれど、それは杞憂に終わる結果だった。
後編で圧倒的な存在を見せたのが田宮良子を演じた深津絵里。寄生生物を演じる俳優達は、揃って無表情や不自然な表情が素晴らしいのだけど、田宮良子はそれらに加えて人間らしい表情からの変化というものを見せてくれただけでも、感心してしまうというもの。むしろ、田宮良子が登場する中盤までは新一の存在が忘れ去られるくらいの勢いで。そこまで描いたのは、前作からの流れで親子というか母子を通じて人間というものを描こうとする意図があったのだろうとは思えるもので。
短い尺の中でまとめただけあって、演出として気になる点もあるのだが、それでも作品としてのテーマやストーリーの骨子はしっかり描かれており、描くべき残酷な描写もしっかり押さえていたので素直に楽しめた。先にあった「るろうに剣心」と同様に、完結している原作から大事な要素を踏まえて作ると、漫画の実写も面白くなるものだと、改めて思えた映画であった。<以下核心メモ>
市役所での警察と寄生生物の戦い、市長を撃ち殺すところまではちゃんと描いていたけど、後藤によってSATが全滅させられるところはバッサリと省いていたのが、テンポの良さに繋がっていた。
最も不満というか気になったのは、後藤との決着で逆転のきっかけになるのが廃棄物での汚染ではなくて、放射能を帯びたものであった事。老婆とのくだりがまるっきり無くなったとしても、ゴミ焼却場をラストバトルの舞台にしたのだから、その辺りは変えなくても良かったのではないかと思うもので。新一が焼却場に逃げ込む際に、放射性物質云々という看板があったけど、今の雰囲気を取り入れたにしては安直だった様な。映画の短い尺の中では、ミギーの睡眠は描けなかったのは判るけど、放射能で細胞が維持できなくて休む というのは、考えたなぁとは思うけども引っかかるものが。
ラストで浦上とのくだりが無くなるのか・・・というくらいの展開だったけど、ちゃんとあって良かった。まぁ、それが無いとミギーとの別れのシーンが描けないから、あるのは当たり前だけど。
新一と里美のラブシーンはどうなるのかと思ったけど、ちゃんとあった。ちゃんとどころか、橋本愛の素晴らしい表情まであって、それはそれで満足してしまうというか。ただ、後藤との戦いの合間でミギーが右腕から離れた状態でのシーンであったのは気になったけど、逆に2人の心の繋がりの強さを示すには良かったのかね。