ピクセル

フォーラム4、評価★★★★
予告から'80年代のゲームが襲ってくるという圧倒的なビジュアルで楽しみにしていた一本。そのイメージ以外には、殆ど情報を入れない状態であったのだけど、オープニングから監督がクリス・コロンバス、主演がアダム・サンドラーという事で、これはコメディなのだなぁという気持ちで見たわけで。1982年のゲーム大会の様子から始まるのだけど、その時の少年サムが成長した姿としてアダム・サンドラーが映った時には思わず笑ってしまったもの。
ゴーストバスターズ」の様にインチキな集団が戦うものかと思っていたが、サムの友人であるウィルが大統領になっており、初めは軍隊のフォローとしてゲーマーであるサム達が呼ばれたという事で、ひとまずは国のというか地球の存亡を背負って戦うという構図になっているという。そこに、過去のゲーム大会で優勝を逃し、それ以降の人生が上手くいってないサムの物語、そしてゲーマーというかオタク達という、いわゆる日陰者の活躍が描かれ、ドラマの軸になっていた。そのあたりのコメディを絡ませながらの人間ドラマというのは、クリス・コロンバス監督の真骨頂というところで、素直に楽しむ事ができた。必要以上の悪趣味な気もする笑いも、勿論、監督らしさを感じさせるのだけど。
登場するゲームは、ギャラガパックマンといった日本で馴染みのあるものから、アタリ社のセンチピードというアメリカだからだろうというものも出てきて、クライマックスは実に賑やかで楽しい。まぁ、'82年には無いアルカノイドとかが出てきたのは愛嬌というところか。
尺も短く、懐かしくも新しいゲームキャラクターのビジュアル等に惹かれて一気に観られる事ができた映画であったと思う。<以下核心メモ>
'82年のビデオから宇宙人が攻撃に使ったルールのあるゲームは、ギャラガ,アルカノイド,センチピード,パックマンそしてドンキーコングとなるのだけど、それぞれ平面のゲームを上手く3Dというか立体で表現したなぁ、と思うもので。特に、パックマンは地球側の区劇がモンスターの役割をする改造され4色に塗られたミニというのが面白い。それらが、ニューヨークの街をパックマンの迷路に見立てて追いかけっこをするのだから。本来のゲームプレイであれば、パワーエサで逃げるモンスターを時間切れ間際に食べてミスになるのは残念なところであるのだけど、それを上手く生かし、更にクルマの動きを立体的に見せて再現したというのは気持ちがいい。パックマンのステージで、かつてのゲーム大会でサムを破ったエディ・ブラントが登場するのだけど、彼がその戦いで使った・・・というか昔から使っており、宇宙人を怒らせた"チート技"とうのがよく判らなかったのだけど。
昔からの友人で陰謀論を唱えるニートのラドローが恋焦がれていたゲームのキャラクターであるレディ・リサはこの映画の為に作られたゲームのキャラクターなのね。そのあたりはちょっと残念かと思ったけど、ラドローの思いを受け止めて味方になったり、宇宙人の撤退で消えたリサが、トロフィーとして残ったQバートが変身してリサになってラドローと結ばれる・・・という展開を考えるとオリジナルでよかったのかも、と思える。その素敵な展開と思わせて、エピローグで彼らの子供がQバートというのが実に監督らしいというか。
パックマン戦にて、詳しい人間として生みの親である岩谷徹教授が登場(俳優が演じている)したのには面白いと思ったけど、セリーナ・ウィリアムズが本人として登場したのは実に楽しかった。後は、宇宙人のメッセージを伝えるのに色々な有名人の映像が使われたけど、マックスヘッドルームが出てきたのは驚きかな。
'80年代のゲームを引用しているのでノスタルジックなだけかと思いきや、期待以上に全世代向けの作品だったと思う。ノスタルジックな作品である事の最大の描き方は、サムがヴァイオレットの息子であるマティに語った"ゲームセンターは当時の社交場であった"という台詞に集約されていたと思えた。
本編も面白かったけど、その本編の内容をドット絵で現したエンディングの映像も実に見事でしたよ。