アントマン

フォーラム3、評価★★★★☆
MCUの新ヒーロー映画という事であるけど、冒頭からハワード・スタークが出てきてシリーズとの繋がりを強くしているのか、と思ったけど始まったらそれほどでもなかったというか。まぁ、世界観の見せ方としてかなり「アベンジャーズ」の要素は出てくるのだけど、物語はそれに引っ張られていない感じ。
描かれるのは2つの親子の物語というところ。アントマンことスコット・ラングと娘のキャシー、ハンク・ピム博士と娘のホープの関係や想いが軸になっているという。そして、スコットの父親としての成長も描かれているもので。話の規模も大きくは無いんだよね。
そんなシリアスになりそうな物語に溢れるのが笑い。勿論、世界平和を脅かすイエロージャケットとの戦いというシリアスな物語ではあるけれど、蟻と行動を共にしたり、小さくなるという異なった視点や表現から生まれる中での面白さはあるわけで。そして、スコットの仲間である泥棒達の面白さが何より際立っていた。特に、ルイスを演じたマイケル・ペーニャの捲し立てる様な話し方は、この映画のリズムを印象づけるものだと思える。
尺も短く、シンプルで爽快なヒーロー映画として仕上がっていたと思う。まぁ、蟻の大群での好き嫌いはあるかもしれないけど。<以下核心メモ>
アントマンVSイエロージャケットがクライマックスと思っていたが、それよりもイエロージャケットを奪う為に潜入するシーンの比重が大きく、小さいヒーローとしての魅力を存分に描いていたと思える。それが、泥棒仲間や蟻達との協力で描かれ、チームものとしての描かれ方もされているのもポイントか。
ピム博士への娘の不審、母親の死をちゃんと話してくれない事からによるものであったのだが、博士が初代アントマンとして、妻がワプスとしてソ連のミサイルを阻止した時に、スーツの力で更に縮小して戻れない状態になリ、実際の大きさの世界に戻れなくなっていたという事で。ピム博士がスーツのコアを弄るな、とハンクに言った事がその出来事からの反映であるのだけど、ラストにイエロージャケットを倒す為に隙間からスーツの制御部に入ったアントマンが、同じ様に戻れない状態になった事でも生きてくる。そして、スコットの機転でスーツに細工をして戻ってくるのだが、それがピム博士に妻を救い出す希望を持たせる終わり方となっているのは、観ていても安心したというか。
スコット・ラング、何も無い駄目親父の雰囲気が予告にはあったけど、電子工学に強く、泥棒はしていたとしても正義感が強いというのは、映画として見せるには必要なヒーローの素地はあったんだろうなぁ、と。
ファルコンが登場するとは聞いていたけど、まさか「アベンジャーズAOU」にて登場した新しいアベンジャーズの基地へのアントマンの潜入ミッションという形になるとは。ファルコンも、AOUで活躍しなかった分、新型スーツの威力を存分に見せてくれていたかな?
そして恒例のエンディングでのおまけ映像。まずは、ピム博士が作るのを中断していた新ワスプのスーツをホープに見せるシーンで"アントマン2"への期待を感じさせるもの。そして最後の最後に、負傷しているウィンターソルジャーにファルコンとキャプテンアメリカが登場するという、正にサプライズ。あまりにも唐突だけど「シビル・ウォー」に繋がる事を考えるとあまりにも妥当で、その展開にニヤニヤが止まらないというか。
そういえば、冒頭の過去のシーンにてハワード・スタークの隣にいたのがペギー・カーターだと気付かなかったなぁ。