007/スペクター

テアトル1、評価★★★★☆
007の最新作。ダニエル・クレイグの007作品は連作の構成となっているのだけど、今回はそれが如実に現れた感じ。「スカイフォール」からの流れはあるだろうと思っていたけど、その前の2作も含めての物語になっていたのは正直驚いた。今までの要素を見事に組み合わせてスペクターという組織を描いたものだと感心するもので。
いわゆる悪の組織として登場するスペクターが狙うのは情報。以前のスペクターは大掛かりな悪の組織であったけど、ブロスナンのボンドであった冷戦終結以降の悪のあり方を、更に21世紀的に進めたという印象。
連作の雰囲気で、MI6のメンバーの活躍も多くてチームものの様相も見せていたけど、やはり007はジェームズ・ボンドの物語だと納得できる作品であった。新しい要素がありながらも、怪物的な悪役なんかも含めて過去の作品からのオマージュと思えるシーンも多く、何より007映画らしい独特な雰囲気に溢れていて満足できるというもの。
中盤で尺の長さが気になる事もあったけど、一気に観る事ができた一本であったと思う。<以下核心メモ>
スペクターといえばブロフェルドとなるのだけど、ボンドが追いかけるのはフランツ・オーベルハウザーという人物であり、どうなるのか・・・と思ったら敵基地のシーンで白猫が登場したと思ったら、母方の苗字という事でブロフェルドを名乗るという実に素晴らしい流れ。
そして、ブロフェルドの父にボンドが世話になっていて、2人は面識があったという事。スペクターという組織を描きながら、その要素としてボンドの過去まで描くのは実に面白い。こういう形でボンドを掘り下げる事は無かったと思うので。
ロンドンにてMI5から新しい情報組織を作ろうとしたCは、実はブロフェルドの仲間であり共に世界中の情報を制しようという企みの中にあったもの。それを食い止める為にQによるシステム停止の為のハッキングやMの活躍等は面白い。
敵基地を炎上させたが、生きていたブロフェルドとの戦いの場は取り壊しが決まった旧MI6本部の中。爆破の準備で張り巡られた爆薬の爆破までの3分間での逃亡の後、ヘリで逃げるブロフェルドを議事堂近くの橋に墜落させ、殺さずに捕らえさせるという結末。
今回のヒロインはかつての敵であったホワイトの娘であるマドレーヌ・スワン。最後にボンドと結ばれるのは流れとして自然ではあるけど、意外な展開であったかと。