さらばあぶない刑事

テアトル7、評価★★★
テレビシリーズから始まった「あぶない刑事」の最後となる映画。最後という事もあって鷹山と大下の退職前を物語の軸にしているのだけど、横浜を舞台にしてヤクザに海外マフィアに犯罪組織に若者の犯罪に大下のランニングに鷹山のバイク上でのショットガン、と今までの要素を全部盛り込んだ様な幕の内弁当の様な映画。「あぶない刑事」の映画らしく、キャラクターを生かした面白さは全開なのだけど、映画として変なバイアスがかかった様な残念さも兼ね備えてるのは、今回も同じか。
今までと大きく変えたところは、鷹山に退職後に結婚する女性がいるという事。それが物語の上でモヤモヤする点にもなるのだけど、そんな設定もタカさんだったらアリかなぁ、と。ユージだったら大いに不満のあるところだったが。
今回の敵として出てくるのが中南米の犯罪組織BOBで、その幹部であるキョウイチ・ガルシアを演じるのが吉川晃治。さすがにその長身も柴田恭兵舘ひろしの前では少し霞む気もするけど、ハイキックで天井の明かりを壊した後のスコーピオンでの二丁撃ちとかカッコ良すぎる。
ちょっと勿体ぶった演出も多かったけど、ラストシーンからエンディングの流れでもう最高というか、"あぶ刑事もこれで終わりなんだなぁ"という感慨に浸れる映画であった。<以下核心メモ>
鷹山と結婚を決めていた夏海、ガルシアと縁があったりもするのだが結局は鷹山とガルシアの戦いの中で命を落とすという。観ながらなぜに殺したのだろうという思いはあったのだが、ラストがニュージーランドにて探偵事務所を開いてゴルフや食事に興じたりするタカとユージを見ると、やはり最後に出てくるキャラクターとして重いというか邪魔なところはあったのかなぁ、と考えてしまうわけで。
大下の努力で凶行を留めた川澄が勇み足で犯罪組織に捕まり、そのまま殺されてしまうのではないかとヒヤヒヤしたけど、こちらはちゃんと殺されずに済んで良かった。
ラストシーンは、結婚詐欺にだまされた薫がニュージーランドまで鷹山と大下を追いかけてきて、逃げる二人と追う薫のバックショトの止めという。その絵で、二人が飛び上がったところで止まっていて"テレビ版のエンディングみたいだ"と思ったら、そのままエンドロールでそのエンディングの絵が被さるという演出が来てちょっと泣けた。ラストという事を強調した演出でズルイ方法であるけれど、やっぱりあの流れは良いものだと思う。
今回の映画では港署のメンバーも流石にだいぶ変わっていて、先に退職したり転属していたりしながら活躍していたとしてキャラクターを描いていたのは良かった。ナカさんのラーメン屋台も良かったけど、パパの料理屋が実にいい雰囲気で本当に行ってみたいと思えるものだったな。