仮面ライダー1号

テアトル7、評価★★
ライダー集合映画の時期となった春に、45周年という事で藤岡弘、を主演に据えての記念作という事に。なのだけど、完全に肩透かしな作りになっていて残念としかいい様の無いもの。
ショッカーから離反したノバショッカーの悪事がちゃんと描かれず悪としての存在感が弱かったし、立花麻由を調べる為とタケルやアカリが何の考えも無い様に高校に潜り込んだり、さらにはアカリが本郷猛を特別講師として連れ込んだりと、なんか散々な展開を延々と見せられていた気がする。あと、各シーンの区切りを見せないままに次のシーンに進む事が多かったのだが、最初は戸惑いだけであったのだが途中からは笑うしかない感じになっていったというか。
そもそも本郷猛のキャラクターが立っておらず、現在の藤岡弘、を本郷猛として描いている様でなんか納まりが悪い感じしか無かったのだけど。麻由との関係も保護者というより歳の離れた男女という風にしか見えなかったのも辛かったというか。その辺りは、立花藤兵衛の孫という、あまりにも降って沸いた様な設定のせいもあるかもしれない。
物語には難が有り過ぎるけど、ラストの戦闘はなかなか見所が多かった。藤岡弘、のバイクの運転や止まった時等の扱いは最近のライダーで見られないものである。変身時のベルトから流れる風のエフェクトの奥で変わる演出は今だからこその表現でありカッコいい。映画らしいワイヤーアクションも豊富で、1号と怪人が絡んだ状態で吊るされていくシーンは見事であった。ゴーストとスペクターのレジェンドライダー魂の豪華さとテンポはちびっ子向けのサービスとしては最高であったと思うし。
かなり疲れながら見ていたのだけど、集合映画ではない期待が完全に外れたものであったかな、と。<以下核心メモ>
ノバショッカー、「世界征服はくだらない」とか言って「これからはビジネスだ」とか言い始めたら、謎のシステムで日本中の電気を奪う作戦に。そして、日本政府にエネルギー供給の契約を締結させたら今度は過負荷でインフラを破壊するという、何をやっているか判らない状況に。で、結局その狙いは麻由の中に眠るアレクサンダーアイコンを獲得するという事で、そこまでの企みが繋がってこないという。でも、ノバショッカー幹部の怪人体は造形も良くカッコよかった。そして、長澤奈央演ずるイーグラは終始怪人体にはならずに剣で戦うという美しさでポイントが高い。
その停電時に山に隠れた本郷に助けを求めて追っていったタケル達がキャンプの様な生活をのんびり見せるのは、起きてる状況と合わずに見ていて辛かった。そして、さらわれた麻由を追ってショッカー達と戦い1号ライダーは命を落とすのだが、麻由の思いもあり奇跡の復活をする。そのあたりで生命についての"みんなの命"というメッセージをこめた流れになるのだけど、木で組んだ櫓の上でダースベーダーの如く火葬にしようとするのは、さすがに現代日本を舞台にしたものでは笑うしかない。そこから炎も巻き込んで不死鳥のイメージで1号が復活するというビジュアルに繋がったとしてもだ。
ショッカーの地獄大使は最後の戦闘ではライダーに協力し、「のっとられるのでは意味が無い」とアレクサンダーアイコンを握り潰すといういい展開になる。ただ、その後満身創痍で去り行く本郷に決着を望むのだが、「体を労われよ」と言われてしまうのが哀れというか滑稽で。その直後に絶命した様な描かれ方であったし。