アイアムアヒーロー

テアトル3、評価★★★★
コミックからの映画化だけど、原作は未見。
予告の時から"ZQN"という言葉が目立っていてコメディか映像センスで見せる映画なのかと思っていたのだが、実にしっかりとしたゾンビもののパニック映画に仕上がっていた。それも、和風のゾンビ映画としてキッチリ描ききったというところか。なんか「GANTZ」に雰囲気が似てるところがあると思ったが、同じ監督という事で納得。
主人公が漫画家というインドアな職業で、その仕事風景から始まる物語なのだけど、ZQN感染の情報はテレビ等のメインであり、大型の軍用機が多数飛んでいったりで世界を広げるのかと思いきや、あくまでも主人公の視点に近いところだけのコンパクトな物語になっており、恐怖や喜び等の感情移入がしっかりし易い作品であった。勿論、英雄を演じた大泉洋のキャラクターも大きいところであろうけど。そして、クライマックスを経ての英雄の立ち姿を見れば、大泉洋が演じた訳も存分に判るというもの。
コミック由来らしい可笑しさも併せ持ったゾンビ達であったが、日本的なキャラクターに仕上がっていたのは良かったのでは。強すぎる個性も、展開や盛り上げとして十分に生きていたと思えるし。怖さという意味では、一番最初に見せたものが近いところでの恐怖でもあった気はするけど、血の量が半端でなかったのは確かかも。
好きなジャンルではないものだけど、とにかく日本らしいパニックものでゾンビものを作ってくれたという事は素直に評価したい。<以下核心メモ>
アウトレットモールから藪と比呂美と共に逃げ出したところで終わるドラマで、日本の中でのZQNの状況や、完全にZQN化していない比呂美の事など、続編を作る要素は残しながらであったのだけど、あの素敵な余韻から続く物語は見たいとは思わないのが正直なところ。
クライマックスは通路の両側から迫るZQNの集団との戦いであるけど、ここでの英雄というか大泉さんの銃捌きが実にカッコいい。こういうパニックものではあまり役に立つ印象ではない猟銃を、競技用のベストで携行するショットシェル100発を次々とぶっ放すのだから。韓国での撮影故に、実銃を仕えたらしいけどその効果は絶大だったのでは。アスリートのZQNとの戦い、弾切れとなったけど拾った最後の1発を撃つというお約束が。と、思ったらそれでも倒せずに、銃を棍棒として使って頭を潰すという展開も好きである。
そのバトルの終わった後での死体の山というか散り具合は壮絶というもの。そこに、屋根からの光を背にスッと立つ英雄の姿に、正にその瞬間に"ヒーロー"となったのだなぁ、という画に強烈なインパクトがあった。やはり、そこを到達点として作られた映画なのであろう、とね。