レヴェナント 蘇りし者

テアトル1、評価★★★★
予告から、家族を奪われた男の多人数への復讐物語だと思っていたのだが、実際には少し違っていて復讐の相手は一人で、その執念故に瀕死の状態から生還した男の物語であったという。しかも、この話の主人公ヒュー・グラスは実在の人物なのだとか。
先住民に襲われ逃げ延びる毛皮ハンターのガイドとしているグラスが、瀕死の重症を負う事になったのは斥候として出た先に遭遇した熊との戦闘。まずは、この熊の少し弄ぶ様な襲い方が恐ろしい。その重傷で動けなくなった為に、他のメンバーが生き残る為に置き去りにされるのだが、最後を看取る様にと金で動いたフィッツジェラルドが、結局仲間から離れていくの耐えられずにグラスを殺そうとするのだが、それを止めようとした息子を殺してしまう。その復讐の為にグラスの生還になるという。
グラスの生還には、重傷から立ち直るだけでなく、白人に娘をさらわれたと追いかける先住民、そして冬という季節での自然と、数々の困難が待ち構えているのだが、素晴らしいサバイバルの才能で乗り越えていく様はスリリングだけど面白い。そんな知性を見せる男だからこそ、ディカプリオが演じての魅力というものもあるのかと。
開拓時代という事で、銃も前込め式で連発できるものでは無いのだが、それ故に映画として面白くなっていた気はする。多人数で弓矢で攻めてくる先住民に圧倒されるところもそうだが、終盤の戦いでの独特な間が印象的であった。
あと、この映画では前半のサバイバル的なシーンでは音楽が控えめというか殆ど無い感じであったのが、クライマックスでは音楽で緊張感を盛り上げており、それらの描くものを明確に分けていた様な。あと、カメラの動きも印象的。一人称の視点が流れる様に切り替わったり、レンズに水滴が付いていたりと、カメラの存在を観ている側に感じさせる様なものであったのだが、それは伝説的な男を描く為の方法でもあったのだろうか。
暴力的ではあるけど、ドラマの熱量と時代の雰囲気が素晴らしい一本であったと思う。<以下核心メモ>
ラストカットは、フィッツジェラルドへの復讐を果たした後に川に流されたグラスが、川岸から上ったところで亡き妻の幻影を見るというものであった。過去に焼き討ちにあった村でただ一人息子を救って生き延びた過去があるグラスだが、重傷で苦しむ中で壊れた教会の様なイメージや妻のイメージを見ていたのだが、ラストのものは復讐を終えた先での安堵や安らぎなのだろうか。その捉え方には少し悩むところ。
雪の中でのグラスとフィッツジェラルドの戦いは、最初は遠距離にて銃で行われるのだが、最後は斧とナイフでの近接戦闘へ。しかも、絡み合ったところで耳を噛んだりと、実に泥臭い戦いが繰り広げられる。怨嗟とそれに対して生き残る欲求のぶつかり合いというか。グラスはとどめを、そこに現れた先住民の委ねるのだが。そして、生還の途中で助けた女性が、先住民の探していた娘であるという事であるのだが、それ故にグラスは殺されずに済んだのだろうと。