シン・ゴジラ

イオンシネマ4、評価★★★★★
「ファイナルウォーズ」以来久しぶりに復活した日本のゴジラ。ギャレス版の後で日本でどんな作品が作られるのか、しかも監督は庵野秀明さんという事で期待と不安が入り混じった状態で公開を待つ事に。
が、蓋を開けてみれば想像以上に日本での怪獣映画であり、今の特撮技術と東日本大震災後の日本というものを存分に描いたものになっていた。内閣官房副長官の矢口を軸に、ゴジラという災厄にいかにして立ち向かうのかという点に絞って描いていて、ドラマとしての魅力も十分。周辺の俳優やキャラクターも端役を含め存在感があったので、ゴジラ映画にありがちな顔出しだけの俳優が無く緊張感が保てたのもドラマとして大いに貢献したか。
今回のゴジラは、あくまでも未知のものであり巨大生物の発生自体が初めての事態という事で物語は進む。未知のものに対する緊張感はやはり面白い。あくまでも、現実の技術と環境でゴジラに対応するのだが、そこに合わさる対抗手段の嵌り具合は絶妙というか。
劇中の時間はそれなりに長い物語ではあったけど、観ている側では約2時間という濃密な時間が過ぎ去ったと思え、満足感の高いデイがであった。<以下核心メモ>
ゴジラが進化していくのは正直ビックリした。上陸後、河を遡上する映像でサイズが合わないと思っていたら未成熟な形態であったとは。最初に出てきた尻尾の印象や、映像での解析時の様子に違和感は確かにあったのだけど。そして、陸に最初に上がった形態の不気味さというか。ギョロリとした目が気持ち悪いというか。でも、このくだりは平成シリーズでのベビーからリトルとかの成長という要素を踏まえれば、その引用なのではないかと思い納得というか、一本の映画の中にそこまでの要素を盛り込むのかと感心するばかり。そして、それがゴジラの生命力を描く要素にもなっていたわけであるし。
今回のゴジラでは放射線への恐怖が実に久しぶりに描かれた気がする。しかも、実際の原発事故を経ての表現だけに、圧倒的な情報量とリアリティを描いているというか。そんな体内に核エネルギーを溜め込んだゴジラに対抗するのが、その熱を冷却する役割の血液を冷やし凝固させるというもの。その作戦内容は「ゴジラ('84)」を思い浮かべさせるけど、攻撃というか与える方法も倒れたゴジラに高所へのポンプ車で"経口投与"するという地味なもの。でも、そのゴジラを倒れさせるまでの無人機等での波状攻撃は胸が熱くなる。
作戦実施までの時間要素として米国の核攻撃予告があったのも「ゴジラ('84)」を思い出すけど、これまた国連安保理によるものという展開が、今の時代ならではという事だろうか。その前にアメリカは爆撃を行ったけど、そういう流れでもゴジラにB2が出てきたのは少し意外。
作戦の成功でゴジラは立ち上がるものの、そのまま血液が凍結し停止状態で人間の勝利に。ラストシーンで尻尾にクローズアップされるのだが、そこで尻尾内の組織が光ったりしなくて良かった。とにかくシリアスに終わったという事で。