君の名は。

テアトル1、評価★★★★★
予告から、遠方に住む男女の入れ替わりの物語で彼らが会うまでの物語であり、彗星やら隕石の映像はその中での要素だと思っていた。が、実際に見てみるとその仕掛けの面白さと、また違う意味での男女のすれ違いが描かれる物語として面白かった。タイトルの意味も、単に見知らぬ2人が会うというだけでない展開を持ったものであったわけだし。あれだけ大きな話であるとは思わなかったものね。
前半では三葉の"女子高生"としての描き方が大きく描かれた感もあるけど、大体の要素は予告で出ていた様な。それでも、巫女姿のところと後半の変化はアニメーション的美少女としての魅力に溢れていたものだと思う。こういうキャラクターが登場する作品が大入りになるというのは面白い。
終盤のクライマックスにかけてのドキドキ感と素晴らしい構成は、単にロマンチックだけでない少年少女の物語として面白いものであった。最後まで焦らされつつも"良かった"と思えるシーンで劇が終わるところも好きだな。<以下核心メモ>
2人は距離が離れていたというだけでなく、時間も3年間ずれていたという展開から一気に男女が出会うという物語から、一気に加速した感がある。瀧が意を決して三葉に会いに行くという途中の食堂で、行き先の町が3年前に彗星接近時に分裂した核が落下して町民が死んでいたという展開は、それまでの想像を覆すもので。序盤でどちらもスマホを使っていた事もあって、時間差という要素は思い浮かばなかったので、インパクトが大きかったというか。
時間までも離れていた2人を繋ぐのに、三葉の口噛み酒とそれを納めた宮水神社のご本尊、そして三葉だけが知っている状態で瀧に会いに行った時に渡した組紐が、カッチリ嵌る様に使われていた流れは見事というか。時間差を超えてご本尊の山にて、夕暮れの時間に2人が顔をあわせる事ができたシーンは嬉しくて微笑ましいものであったけど、その時間の突然の終わりの圧倒的な不安もまた展開としては良いものであった。
彗星が落ちる事の父である町長への直談判で、瀧の入った三葉と三葉本人の時の差というものも面白かった。その後の非難の様子が明確では無かったけど、そこの描写が無かった事でラストシーンで5年後に瀧と三葉が会うまでの緊張感はあるのだから。
何故に「君の名は」というタイトルなのかは、離れた2人の話だからというだけでなく、入れ替わりが無くなった事でそれぞれの名前も忘れてしまうけど、その存在は引っ掛かり続けて5年後にやっと再開した時にそれぞれの名を問い終わるシーンを見て、納得したというか。出会いの物語だけど、互いを探している時間の話だったんだなぁ、とか。