007 スカイフォール

テアトル1、評価★★★★
ダニエル・クレイグジェームズ・ボンドを演じるシリーズの3本目。前の2本で"007誕生編"が終わって、アクション全開の物語かと思えば、ボンドとMとの関わりや、過去にMI6から出された男との戦いという軸で、ドラマ要素の強いもので、劇的な展開には驚きや涙もあるというもの。
そうは言っても、冒頭からバイクチェイスから転じて列車上での格闘と、他の映画ならクライマックス級のアクションが惜しげも無く繰り広げられたりと、アクション映画としても実に満足できるもの。
そして、今回のボンドカーとして登場してきたのはアストンマーチンのDB5。しかも、各種ギミックを装備した「ゴールドフィンガー」での登場車両という事で、旧来のファンへのサービスとシリーズ展開としての面白さを存分に示していた。
敵として登場したのは元MI6エージェントのシルヴァ。リアルな作風の中で、久しぶりに怪人らしい雰囲気を持った悪役で、その憎らしいまでの笑顔を演じたハビエル・バルデルは素晴らしい。
この映画を観る事で、クレイグ版007は正にシリーズのリブートだったんだと改めて思えた。観終わった後に、すぐに新しい007の冒険が見てみたいと素直に思えるものであった。<以下核心メモ>
今作のボンドガールは、メインと思われたセヴリンが中盤でシルヴァにあっさり殺されたりと、益々ドラマに絡むキャラクターとして弱くなってるな、と。まぁ、クライマックスのスカイフォールの戦いではMがある意味ボンドと戦う女性という事になるのか。で、冒頭でMの命令で過失とはいえボンドを撃ってしまったイヴが、"イヴ・マネーペニー"という事でMの秘書になるというラストにはニヤニヤせずにはいられない。
スカイフォール・・・が何かと思えば、ボンドが生まれた土地の事で。そして、ここの屋敷がクライマックスの舞台となるのだが、ここでのトラップの仕掛けが、これまた007らしくなくていいwそして、その逃亡の際に負った傷のせいでMが命を落とす事に。シルヴァが共に死のうと、拳銃を突きつけるのだが、そこをボンドに助けられても、命を落とす事になるという。このシーンでのボンドの悲しみが、この映画でのドラマの最高潮だと言える。
そんなMに変わって新しいMとなるのが、それまでのMを引退させようとしていた情報国防長官のマロリー。序盤では対立するだけであったものが、Mが審議中に襲われた事をきっかけにか、ボンド達の助けになっていった流れからは実に納得。演じていたのがレイフ・ファインズだったのは、そういう展開を含めてのものなのだろうなぁー、と観ていたけど。