御法度

見直すためにレンタル。映画館で観た他、テレビでも少し見た覚えはあるのだが。
新選組の物語であるのだが、司馬遼太郎の小説を元に大島渚監督が、隊内での衆道=男色の騒動を描いたもの。新入隊員として、松田龍平演じる加納惣三郎と浅野忠信演じる田代彪蔵が加わるところから始まり、惣三郎が田代によって衆道に嵌り、そのまま周りに影響を及ぼし・・・というもの。
この映画で、松田龍平が俳優としてデビューしたのだが、記憶以上に朴訥としたセリフの発し方だったと。ただ、それ以上に父親譲りの長身での殺陣はやはり見事。そして、時折可愛らしくも見える顔立ちや、肌のキレイさもまた記憶以上で驚く。しかし、デビュー作で田口トモロヲに後ろから突かれる演技をしているのだから、大変なものだと思ったり。
新選組ものでありながら、監督の意向かだいぶ雰囲気の異なるものに。その一番は、隊の衣装がダンダラ模様ではなく、ワダエミがデザインし黒を基調としたものだけど、これがカッコいい。とにかく、そういう衣装も含め、画面が締まる事で衆道の妖しい雰囲気、惣三郎の肌の白さが際立つというもの。
異例といえば、配役もオリジナリティに溢れるもの。沖田総司の武田真司は想定どおりとしても、土方歳三ビートたけしは改めて見ても意外。でも、それがハズレなのではなく、この物語の中では必然としてハマっているというか。歳を重ねたビートたけしが演じる事での男臭さや粗雑さと共にモノローグでの感情の出し方等々。そういえば、道場での稽古シーンでの剣捌きは剣術とは違う喧嘩的なものであったけど、また素晴らしいと思えるものだった。
確かに"ホモセクシャル"を描いた映画ではあるが、文学的な雰囲気や重さを持った時代劇として面白いとは思うのだが。
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