X-MEN フューチャー&パスト

フォーラム3(3D)、評価★★★☆
X-MEN映画の新作で、ウルヴァリンを軸とした映画と若きプロフェッサーXとマグニートーを描いた「ファーストジェネレーション」を、時代を超えるという演出で繋げたもの。監督に、X-MENの映画をスタートさせたブライアン・シンガーが復活した事で、過去作の要素をうまく拾って構成したという感は強い。
それぞれの時代で物語が交錯する様なものかと思っていたのだが、近未来にミュータントを倒すためのロボットであるセンチネルによって人類も含めて危機に陥った世界、それを元から叩く為に過去に戻って…という話だが、人気のあるキャラクターでありながらも難しい事は苦手に思えるウルヴァリンが、その能力ゆえに時間を遡るのに耐えられるというところから、面白くなっていく。未来で手を取り合ったプロフェッサーXとマグニートーが対立している構図等、キャラクターの立ち位置がそれぞれに面白く楽しめた。過去作からの引用もいい塩梅で。そして、タイムパラドックスのお約束を踏まえつつの未来改変ものとしてのドラマも十分。
やや、シリーズとしての破綻や迷走が見えていたX-MENではあったけど、この映画で文字通り全てをリセットして仕切り直しをしたという感じもあり、色々な意味で安心した。シリーズを踏まえてると言っても、これだけでかなり楽しめるんではないかという事もあるし。<以下核心メモ>
"センチネルの能力を上げるミスティークのDNAを回収させず、その発端となる彼女の殺人を阻止する"というのが始まりになるのだが、微妙に状況を変えつつDNAの駆け引きが続いていくのがポイント。そして、そのセンチネルを作るトラスクが悪人として進むのかと思いきや、マグニートーがしっかりと悪人に。野球場のスタンドをごっそりと宙に浮かし、ホワイトハウスを囲む檻にしたり、大統領が避難したホワイトハウス地下のシェルターを丸ごと外に出したりとその能力を見せ付けるばかり。もちろん、マグニートーが悪人になっているのは、未来を考えての事ではあるのだが。
それにしても、「ファーストジェネレーション」で描かれた、プロフェッサーXとミスティークの兄妹の様な関係が上手く昇華させたな、というのを強く感じる。そこに、3部作でブラザーフッドでは仲間となっていたマグニートーとの関係もちゃんと含ませる事での広がりもあるし。
過去に行くのはウルヴァリンだけであるが、若きプロフェッサーXと未来のプロフッサーXのウルヴァリンの意識を通じての会話は素直に泣けた。彼らの話だけでなく、そう仕向けたウルヴァリンがプロフェッサーXから教わった事や助けられた事を踏まえていたのがまた嬉しい展開というか。
あと、シリーズの縦軸として思った以上に存在感を示し、今回も過去で若い時の姿を見せたのがウィリアム・ストライカー。ただなんとなく出すのでなく、その後のミュータントへの関わりを示したり、その姿を見てウルヴァリンがアダマンチウムを入れた際の姿をイメージして混乱するとかの要素も入っていたりすわけで。
ラストは、歴史が改変して平和な学園のシーンで終わるのだが、ジーン・グレイとしてファムケ・ヤンセンが出てきたのは驚いた。サイクロプスも出てきたけど、オリジナルキャストだったのか判らなかった。あと、ローグのアンナ・パキンがキャストリストにはいたけど、出演はラストでアイスマンといろところだけだよな?…という疑問は残ったか。