ワールド・トレード・センター

テアトル8、評価★★★
前評判で聞いていた限り、もっとグダグダで泣きの演出が目立つかと思ったけど結構淡々とした演出であった。まぁ、先に見た同じ9.11を題材にした「ユナイテッド93」ほどピリピリした演出で無かったのは、事象ではなく人間ドラマが主だったからだろう。それでも、現場に向かう途中のシーンで、タワーから落ちてきた書類が1枚画面の脇を横切った時には戦慄を覚えた。もちろん、悪夢の様なグラウンドゼロのセットには圧倒されて、言葉を失うばかりで。
ニコラス・ケイジは重みがあるんだけどいつも通りの野暮ったさなので言うことは無いが、もう一人の生存者を演じたマイケル・ペーニャが見事。動けない状況での、演技は存在感十分かと。<以下核心メモ>
生存者の捜索にあたった海兵隊員の存在が面白い。その流れが湾岸戦争に繋がっていくわけで。
でも、救出作業にあたる人との自己紹介で「名前は?」「カーンズ軍曹だ」「ファーストネームは?」「軍曹だ」とか、救出後の電話での「今日は出勤しない。これからベテランの兵士が必要になる。」とかはやりすぎなくらいカッコイイ。
ヒメノの観た幻がキリストというのはエピソードとしてあったのかな?演出だったらやりすぎな気も。ただ、マクローリンの妻の姿も同様に、生きるという力としては当然なのだと思うが。
生還者を迎えた家族の喜びはもちろんだが、その脇で帰らぬ人が居たという事を忘れない演出もあるので、ただ良かったね、という映画では無い。