BALLAD 名もなき恋のうた

テアトル1、評価★★★★
アニメ「クレヨンしんちゃん」の映画「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」を原案としたものだが、オリジナルは未見。
その為、差異は判らないけども、ハードで人を描いた物語に素直に感動。戦国時代の又兵衛や廉姫は勿論の事、現代から行ってしまった川上家の一家も過酷な人たちに触れての成長が心地よい。
元の作品のトーンからの差別という事もあるんだろうけど、戦国時代の表現や合戦の描き方は実に見事。城への攻めや防御は、勿体無いくらいの映画技術の総力戦で徹底的に描いている*1ので見所十分。そんな、昔の表現がしっかりしているからこそ、川上家の入り込んだ画の異質感が際立つもので。
演出やデジタルの使い方が、山崎貴らしすぎて面白味が無いと言えばそうなんだけど、映画としては素直に楽しめた。長いかなと、思った2時間12分の上映時間も気にならなかった。<以下核心メモ>
真一をはじめとして、川上家がタイムパラドックスを気にせず現代の品をどんどん使っていいのか??・・・と思ったら、冒頭で死ぬ筈だった又兵衛が生きる時間が延びただけで、戦に勝利したのにその歓喜の中で銃撃で死ぬという、やりきれない展開がなんとも。ただ、その展開故に、川上家のタイムスリップと帰還に説明が付けられるわけで。
あれだけの合戦の中で、現代の日本から行った人間が戦場に入ったら、その状況を見た事でPTSDになるんじゃないか、という危惧もあったけど、なるべく戦乱の真っ只中に入るというシチュエーションを避ける様に描かれていたので安心。最後の一騎打ちも、寸止めで決着を付けているし、斬首もまげを切る事で代用したりと、一応の納得か。
序盤で、真一が書いた手紙が未来にて掘り出されるというのが時代の流れをうまく描いていたけど、最後の廉姫の「ありがとう」の石碑も、出来過ぎだけど、いい演出だと思う。

*1:当然、映画としての誇張はあるけども