インセプション

テアトル2、評価★★★☆
夢の中のアイデアを盗む男の話・・・という事で、夢と現実の世界をまたいでの複雑な構成。とは言っても、映画の進行に一般人に近いキャラを配したりして、独特な夢の世界の説明は十分。
それよりも、コブというキャラクターの内面構造を描くのに内容がクドくなっているのだが、それが物語の本筋なのだから仕方が無い。一応、"アイデアを盗む"男達が、逆に"植え付ける"という作戦は展開されるのだが、それはどちらかというと、物語を展開させる為の要素といった感が強いと言ってもいいかも。
トリッキーな映像が予告でクローズアップされていたけど、それは夢の世界の表現と緊迫感を示す為に必要な演出として納得。そして、ディカプリオ演じるコブの話なんだけど、チームものとしての魅力があったのは予想以上の展開。
やや長くてテンションの高さは無いけども、何度か観てみたい映画だな、と思える。<以下核心メモ>
コブが妻に昔しかけた"これは現実ではない"というアイデアの植え付けによって、妻が自殺した事を端としている物語である・・・という事が見えると、コブに感情移入する事ができるかと。
そこに至るまでに、新人の設計士であるアドリアネのテストからの視点を入れる事で、観客にはその構造を見せていくという仕組みは面白い。
ラストで虚無に落ちたサイトーを助け出し、現実世界で作戦を行った航空機でチームの皆と顔を合わせ、そのままアメリカに入国して子供達と再会・・・となるのだが、ここで初めて子供たちの顔が見えてハッピーエンドの様相を見せるもので。但し、夢と現実を見分けるために持っていたコマが、揺らぎの音をしながらも回り続けているシーンで暗転しているので、その真実は観客に委ねられるものなのがなんとも。自分としては、現実として、次の瞬間にはコマが倒れると思っているのだが・・・。